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●こんにちは。管理人の牛乃あゆみです。更新状況のお知らせ代わりに始めたブログですが、それ以外の話題が増えてきました。(笑)お知らせのほか、日々のアレコレ創作周辺の話題なども気ままに書いていきます。ゆるゆるとおつきあい下さいませ。

●過去の更新タイトル一覧はこちらでどうぞ。

●別にカテゴリ別ページも設けました。複数のタグがついている記事は各カテゴリに重複して出てきます。ちょっと錯綜しておりますが、ご了承下さい。


新刊DL御礼と準備中の本、無料配信予定など

『流星』ダウンロードありがとうございます。

先月から配信が始まりました新刊掌編集『流星:SF・微JUNE掌編集」、無料お試し版を含めて、ダウンロードしてくださった皆様、ありがとうございます。m(_ _)m (これからの方、よろしくお願いします❤(笑))

 

BOOK☆WALKERでは有料版も少しダウンロードをいただき始めました。正直驚いています。kindleで最初に出した本(英語版の宇宙探偵ホォムズ。kindleの日本ストアができる前で、無謀にも待ちきれずトライしましたが大変でした☆(^^;))は、無料配信以外で有料の売上が立つまできっかり一年かかりましたから、本を置いた実績がまったくないストアでこういう地味な本では、同じくらいかそれ以上は動かないだろうと覚悟をしておりました。キャッチーなキーワードが当てはまる本とは言えないので、同人誌・個人出版が別枠ストアなことが良いほうに出ているのかもしれませんし、何よりお試し版の無料配信ができることが大きいんだと思います。

 

無料版には表題作を一本まるごと含めたので、有料版を買ってくださった方はこれを読んだ上で気に入ってくださった……のだと信じることにしました。(笑)とても嬉しいです。ほかの収録作もお気に召していただけますように。本当にありがとうございます。

そんなわけで、今回の新刊は最初から2つのプラットフォームの同時配信でスタートしたので、kindle版では無料キャンペーンをしたり、Kindle Unlimitedで読んでいただいたり……という定番露出ルートが使えません。(kindle独占配信が条件なのです)前にも書いたかもしれませんが、kindleの個人出版では恒常的に無料の本は置くことができません。その代わりがこれらのオプションなので、これまですべての本でこの設定を使っていました。今回これまで以上に地味な本でこのルートが使えないというのは、うーん……(^^;) もともと万人向けの正反対を行く本ですが、宣伝力がないのに輪をかけて厳しい条件を課してしまった、と気づきました。(でもやってみたかったんですよね、配信同時スタートって)

 

それでイロイロ考えまして、微力ではありますが対策のひとつとして、BOOK☆WALKERで配信している【無料お試し版】のkindle版(mobi形式ファイル)を無料ダウンロードコーナーに置いてみました。これまで無料コーナーはPC用母艦サイトのページにリンクしていたのですが、直接Dropboxからダウンロードしていただけるようにしてみましたので、PCサイトが使いにくかった方にもご利用いただけたらと思います。その他の無料本もお土産として置いていますので、よかったらぜひお試しくださいませ。

毎度それなりにPRに苦労する(笑)本を作っていますが、地味でニッチな本(商業だったら企画自体が通らなそうな本)を作れること自体、ある意味個人出版の長所でもあり、醍醐味でもあります。ありがたいことだと思います。細く長く地道に配信して参りますので(というか別の選択肢などありません!(笑))、末永くよろしくお願いいたします。

 

 

交霊航路準備中

さて、その掌編集が先になりましたが、本来電子化しようと思っていたSF系長編『交霊航路』(仮)、現在電子化作業真っ最中です。それに伴いサイトでの公開を終了させていただきました。これまで閲覧してくださった皆様、ありがとうございました。この本ではkindleでの無料オプションも使いたいので、最初の3ヶ月だけkindle独占配信にしようかな、とも思っています。完成しましたらぜひご覧くださいませ。

 

 

無料配信予定

さて、kindle以外での配信をするために、kindle独占配信設定(=kindle Unlimitedとkindleオーナーライブラリー対応)を順次終了しておりますが、その中で下記の3冊は最後の3日間に無料配信をすることにしました。終了日の都合で順不同ですが、いずれもイアンシリーズです。未読の方はよかったらお試しください。(シリーズですが読み切りなので、どの本からでもお読みいただけます)

その他を含めたkindle独占配信終了スケジュールはこちらでお知らせしています。設定がはずれたものから順次BOOK☆WALKERで配信を開始するつもりなのですが、思ったよりkindle用のファイルからの調整が必要なことと、交霊航路の作業で今のところ手一杯なので、少し時間がかかるかもしれません。でもゆくゆくはBW(できればkoboも)の配信本を増やしてみたいと思っています。(それならここのサイト名を変えなくちゃ、と思いつつなかなか手が回りません…)

 

今月は上記の既刊の状況変化に伴うアレコレと、うまくいけば新刊配信開始、GWにはコミティアに参加するのでその準備も、というわけで忙しくなりそうです。こういうことで忙しいのは大歓迎ですが、もともと『交霊航路』の電子化は、イアンの新作が煮詰まったため「一度離れて別の作業をしてみよう」と考え付いたことですし、BWの配信も(興味があったとはいえ)急にきっかけができて実行したことなので、そろそろ「作業」でなく「執筆」のほうに時間を使いたいなーとも思う今日この頃です……。(わがままなものです(笑))

 

その執筆に関連してですが、ポメラを新調しました! その感想も書きたかったのですが、長くなりそうなので今日はこのへんで。

 

新刊『流星』について+既刊無料配信のお知らせ

お知らせしておりました新刊、AmazonとBOOK☆WALKERで配信を開始いたしました。しんみりしたシリアス3本、BL風お気楽コメディ1本の掌編小説集です。短いので「ブックレット」としましたが、静かなところでゆっくり読んでいただけたら……という感じの一冊です。どうぞよろしくお願いいたします。(価格表示が税込と税別なので違って見えますが、両方税込100円です)

 

【kindle版】流星: SF・微JUNE掌編集

 

【BOOK☆WALKER】流星: SF・微JUNE掌編集

(無料お試し版)流星【BOOK☆WALKER】

 

BOOK☆WALKERは無料本が置けるので、初めての試みで無料お試し版を作ってみました。表題作まるごと一本と、あとがき(微JUNEについてのアレコレ語り)の抜粋、既刊リンクなどが入っています。そのままブラウザでも読めるので、ぜひご覧ください。

 

表紙は正直地味ですね。(笑)今回の内容は、コメディを除いて自分の漫画絵ではどうかなあと思ったので、表紙・挿絵含めて初めて写真(著作権フリーものと自分で撮ったもの)を加工した画像を使ってみました。各々お話のあとに画像が入っているので、イメージを重ねて余韻を味わっていただけたらと思います。この手の小説で表紙に「人間の顔」を入れないという選択は、本として目に留まりにくくなりそうでジレンマもあるんですが(過去の同人誌の改稿電子版なのですが、紙版も表紙は加工した写真でやはり地味でした(笑))、イメージはこうなので、とりあえず思い付きのままいってみました。

 

「微JUNE」に込めたもの

あとがきで詳しく書いていますが、今回のテーマ「微JUNE」は、自分があくまで個人的にとらえている「JUNE」、現在の特化したBLにはほとんど見あたらなくなったJUNEの要素のなかで、そのまた淡い「かすかな感覚」を思い浮かべてそう書きました。(コメディを除いて)作品自体にBL色はほぼありません。メインモチーフとして「同性に引かれる男性」、もしくは「男性同士の間に生まれた恋愛ではない微妙な感情の動き」があるものの、テーマはエロティシズムではなく、「微妙でかすかな感情」を深読みすること。それこそが自分にとってのJUNE(の重要な要素のひとつ)だからです。遠慮したとか恥ずかしいからとかじゃなくて、「その匙加減がツボだから」。丸出しになると台無しになるもの、「ヌードより着物の襟足のほうが色っぽい」みたいな話と似ているでしょうか。

 

それでも、今回作品に反映させた「JUNE」は自分の解釈の中でもすごく淡いタイプのJUNE感覚で、ふつうに「短編」と称したほうが適しているかもしれません。例えて言えば、平凡社ライブラリーの『ゲイ短編小説集』収録作が「ゲイ小説」である、という程度にJUNE、という感じです。(とても好きな短編集なのですが、「えっ、これのどこがゲイ小説?」というものがいろいろ入っています。その意味で自分にとってあの「ゲイ小説」はまさに「JUNE小説」です)

 

こういう、ある種の「色気」(一般的な意味で「エロい」ものに限らない)は、もともと、「普通の作品」の中に「深読み」して味わっていたものでした。なので、現在の特化した商業BLに見当たらないのは当たり前かもしれません。たぶん、「こういうものが好きでしょ」とあからさまに提示された時点で消えてしまう、そういう性質のものなんだと思います。「深読み」という感覚、かなり重要なのです。

 

そんなわけで、今回改めて「JUNEの定義は一般にどうなっているのか」を考えてみたのですが……wikipediaで見つけた言葉がうまく状況を言い当てていると思いました。

 

「読者の美意識に適うものはなんでもJUNEとされたようで(……)」
(wikipedia「JUNE(雑誌)」より、ぶどううり・くすこ氏の発言引用)

 

まさに美意識の問題だと思います。こうなるとむしろ気が楽です。それぞれがそこに込めるものが正解で、人と比べるものでもない。今のJ.GERDEN会場で見ることができる作品の多様さが、それを表していると思います。

 

…そんなわけで、今回は「あなたのJUNEはどこから?私は」(笑)的なわがままを通した一冊です。もちろん自分にとってもJUNEはこーいうのだけではありませんし、BL否定というわけでもないです。というか、JUNE/BLはいろんなものを飲み込むカオスなパワーがあるジャンルだと思っています。現在の商業BLで特化している表現はもう充分巷にあふれているし、自分がそれをやっても下手だと思うので、JUNE/BLとフツーの小説の重なる、自分好みのハンパなあたりで(笑)これからもやっていきたいな、と思います。

 

 

複数プラットフォームでの配信

さて、配信の話にいきますが、二ヵ所で同時配信といっても同じ本なので簡単簡単……と思ったらそうでもなかったのです。(^^;) というのは、ストアの性質がちょっと違うんですよね。前回も書いたんですが、BOOK☆WALKERのほうは同人誌/個人出版を他と分けたコーナーにしているので、ある意味「同人誌をわかってる」方たちが見る場所だと思うんです。今回のキーワード「微JUNE」にしても、「JUNE」自体がkindleでは説明がいると思いますし、同人界隈では説明するとむしろ失礼みたいなところもあります。でも一般の(?)方が何かの拍子にご覧になったときにはわかりやすくしたいとも思いますし……。公開されてから商品ページを見て、「ああ、こうじゃないかも……」とちまちま書き直すことはわりと多いんですが、今回すごく悩んでそれを繰り返してます。それで現在、kindleとBOOK☆WALKERの有料版、無料お試し版ですべて商品説明が違う状況になっとります。内容的にも読む方をちょっと選ぶかな、というものですし(まあいつもそうなんですが)、もともと宣伝が下手なのもあるんですが、どういう感じの本なのかをお伝えするのは難しいなあ……と痛感しています。

 

それはともかく、今回はKDPセレクトに登録しなかったので、Unlimitedやオーナーズライブラリーに対応できない代わりに、kindle以外での露出は内容の10%まで、という制約がありません。どういうPRが可能か、いろいろ試してみようと思っています。(その一環が無料お試し版です)それから、今回初めてEPUBでファイルを作ってみて、テキスト主体の本で画像を全画面表示する方法などがわかったので、次に電子化しようと思っているSF系長編の演出(?)に活かしたいと思っています。

 

ノーガキが長くなりましたが、サラッと味わっていただけたら冥加でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

流星:SF・微JUNE掌編集

 

【kindle版】
【BOOK☆WALKER版】

 

(無料お試し版)【BOOK☆WALKER】

 

 

追憶ホームズ上巻・ラスト3デイズ無料配信

さて、サイトのホームでお知らせしておりますが、既刊をkindle以外でも配信するようにするため、順次kindle独占配信を終了し、Kindle Unlimitedやkindleオーナーズ・ライブラリへのご対応がなくなります。今週末に分冊版の『追憶のシャーロック・ホームズ』が終了するので、そのラスト三日間に上巻を無料配信することにしました。この無料キャンペーンオプションも独占配信が条件なので、今後利用できなくなることに突然に気づきまして……もともとこういうキャンペーンをするための分冊版なので、未読の方はよかったらぜひダウンロードしてください。統合版はもうしばらく読み放題対応です。残りの本の対応終了スケジュールは別途お知らせいたします。

 

【分冊版・上巻】追憶のシャーロック・ホームズ

2018/3/21(日本時間22日午後6時頃)~23(日本時間24日午後6時頃)

商品ページの無料配信開始時刻がまだ修正されていないかもしれませんが、
開始は日本時間3/21午後五時頃の予定です。

 

 

 

平行配信&新刊準備中、と、プリント本(Beta)て?

BOOK WALKER平行配信準備中

というわけで、kindle以外のプラットフォームでの本の配信を、平行して始めてみることにしました。

じつは以前から考えていたのですが、検討していたうちの一つBOOK WALKERが、先日J.GARDEN会場で配信登録キャンペーンをやっていたので、後戻りできないように(笑)閉会間際に申し込んできました。(実質登録代行サービスへの誘導が主眼らしいのですが……申し訳ない、うちはDIYです(^^;))

 

 

現在kindleで配信中の本は、すべてKDPセレクトというのに登録しています。kindle独占配信にする代わりに、Kindle UnlimitedやKindleオーナーライブラリーの対象にしてもらうシステムです。他で同時配信するためには、規定でこの登録を外さなくてはなりません。昨日その作業をしたのですが、三ヶ月ごとの自動更新を「しない」という設定しかできないため、今期(発行時にスタートしているので本ごとに違うのですが)が終了するのを待って、それそれ違うタイミングで対象からはずれていくことになります。ですので、既刊のBOOK WALKERでの配信は期限のきたものから少しずつ追加していくことになります。

 

統合版と分冊版があるものは、問い合わせたところやはり両方外さなければならないそうで、ちと時間がかかりそうです。(とりあえずこれから一ヶ月くらいの間に終了になる分は、ホーム画面でお知らせしています。Unlimitedで登録済み、kindleオーナーライブラリーでレンタル済みの本は、終了後もお読みいただけますのでご安心ください。サービスのご利用をご検討中の方は、終了前にお願いいたします。J庭後急に固まったスケジュールなので、慌ただしくてすみません。本当は『ネガティヴ…』統合版は一番最後にしたかったんですけど……(^^;))

 

 

…そんなわけで、既刊のKDPセレクト有効期限が切れるまでの間に、BOOK WALKER配信用に新刊を出そうと思っています。これはもちろんkindleでも出すので、うまくいけば初めて二つのプラットフォームで同時配信になります。その次に、このサイトで公開している『交霊航路』に少し手を加え、配信しようと思っています。元々は今いじっているイアンシリーズの新作が詰め込みすぎて収拾がつかないため、頭を冷やすためにいったん「ただの作業」を入れよう、と思ったのがきっかけなのですが、久しぶりに今の電子書籍・個人出版周辺の状況を見て回ったら視野が広がり、やりたかったことのいくつかが実現できる(あるいはできそうな)こともわかって、やる気が出てきました。

 

Kindle以外で配信するようになると、ここのサイト名も変えなきゃいけないなーとか(笑)あるんですが、これはじつは当初から想定していたことでした。最終的には紙も出したいので、SUSSANRAP e-Books → SUSSANRAP Booksとか出世魚(?)的に変えていこうかなーと……。(あるいは「SUSSANRAP」のみのタイトルを同人母艦サイトからこちらに移すか……悩み中です)

 

もう一つ検討しているプラットフォームは当然(?)koboなのですが。それぞれ個性がありますね。BWとkoboは、無料本が置けるところに少しメリットを感じます。kindleでは独占配信にすれば数日間の無料キャンペーンができますが、恒常的なお試し無料本は個人出版ではできません。(普通の出版社のお試し無料本はよく見かけるので、たぶんそちらではできるんじゃないでしょうか)無名作家の作品はとにかく直接中身を見ていただくしかないので、恒常的な無料本オプションは少し魅力を感じます。kindleも無料サンプルは落とせるんですが、冒頭10%の自動生成なので、短いものだと本文があまりなかったりしますよね。そのへん、お試し用に編集できるのは利点だと思います。

 

それと、同人誌・個人出版の位置づけもちょっと違います。kindleとkoboは普通の市販本と混ざっていますが、BWは同人誌だけのエリアがあり、「同人誌を買う」と意識した方がご覧になることが予想されます。キーワードに引っかかれば市販本と個人本はまぜこぜで出てくるらしいのですが、このへんのちょっとした棲み分けから、(同人誌的な個人出版本については)競合相手としてむしろ同人誌専門のダウンロード販売サイトが意識されている印象を受けました。なので、BWは少し「同人誌寄り」のアプローチの本(たとえば「フリートーク」とかがたくさん入ってるような)も置きやすいかもしれない――売れるかどうかは別にして――と思いました。

 

ユーザーさんの層や絶対数の問題はもちろんあるので、とにかくやってみなければ様子がわかりませんが、とりあえずは同時並行配信をやってみようと思います。kindleのUnlimited対応はいつでもまた再開できるので、時々他での配信を一時停止してキャンペーン的に行うのもありかな、とも思っています。研究してみます。

 

プリント本(Beta)?

で、紙ですが。新刊の準備やらKDPセレクトの規定やらでヘルプを参照していたら、「プリント本」という見慣れない項目が、「(Beta)」とついてますが記載されていたんです! こっ、これは! どうやら、これまで日本では個人出版に適用してくれなかったオンデマンド本サービスの運用を始めてくれるのでは!? と期待しています。

 

米国Amazonなどでは、以前からCreate Spaceというオンデマンドサービスとの提携があって、kindle本をオンデマンドで紙書籍にすることができていました。ご注文があったときに一冊ずつ作られるので、出版者側としては在庫を抱える必要がありませんし、何より初期費用がいりません。わたしらのよーな零細インディーズ出版には救いの神であります。

 

じつは同人誌イベントで、時々「電子版を読める環境がないので、紙版がほしいんですけど……」とありがたいお言葉をいただくことがあります。自分もできれば全部のkindle本についてオフセットで刷って、以前密林社さん経由でAmazonに置いていただいていた『追憶のシャーロック・ホームズ』みたいにしたい、とつねづね思っていたんです。(現在同人イベントに持参している本はすべて自家製本なので、コピー同人誌に慣れていない方の目に触れるAmazonには……さすがに出せない!(^^;))

 

でも紙版で揃える予算がないので、オンデマンド出版サービスをいろいろ調べ回っていたところでした。その中ではBOOTHのオンデマンドも検討したんですけど、紐づけされる電子版にコピー防止などの措置がされないため、ただ「ファイルを配るだけ」なんですよね。なので物販以外は無料本程度しか使えないかも……と今のところ思っています。(その分BOOTHは「ほぼ同人誌イベント慣れしている方々がご覧になるはず」という安心感があるので、多少二次っぽい本なども通販に出しています)

 

他にもオンデマンド出版のプラットフォームはいくつか見たのですが、やはり露出力(?)はkindle本が一番なので、そことつなげないとあまり意味がありません。Amazonと他のオンデマンドサービスを自分で紐づける手段はないし、自分の使える限られた時間と乏しい発信力では自前のお店でやるのは現実的でないので、「うあー、Create Spaceが日本の個人に対応してくれればー!」と頭をかきむしって(笑)おりました。なので「プリント本」はまさに夢の実現(かも)です。まだ待たされるかもしれませんが、期待して待ちます。印刷費があまり高くないといいんですが。

 

…というわけで、そちらの正式なアナウンスを待ちつつ、新刊電子書籍の作業を進めます。あ、肝心の短編集の中身は既刊同人誌の改稿なのですが、改稿しながら泣いてしまったりしています。(おめでたい奴です(^^;))

 

今月中には配信開始できると思いますので、準備ができましたらお知らせさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

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魔法が科学に変わる時:AIで「蘇る」故人

いつも見ているニュース番組で、ちょっとした「SFが現実になる瞬間」を体験しました。 

AIで残す“人の思い”(キャッチ世界のトップニュース)

 

「AIで故人とのコミュニケート(に見えるもの)を可能にする」という話題で、恋人を亡くしたIT起業家の女性が、AIに生前の恋人の言動の記録を学習させ、彼とチャットができるアプリを開発したというもの。返してくるジョークのセンスまでそっくりだそうです。亡くなった恋人自身が、故人の記録をAIに落とし込むことには興味を持っていたとのことでした。

 

で、「状況設定」や「映像」が、ちょっと前に見たSFドラマシリーズ『ブラックミラー』の『ずっと側にいて』というエピソードにすっかり重なって見えたんです。

 

亡くなり「蘇る」恋人を演じるのはドーナル・グリーソン。
ネットフリックスで配信中。シーズン2第1話です。
ブラック・ミラー(Netflix)

 

 ドラマのほうも、恋人を突然亡くした若い女性が主人公。彼女は激しく落ち込み、友達に勧められて、上記にそっくりのアプリ――故人のデータを学習し、故人とチャットができるようにしてくれる――に、最初は拒否反応を示しつつも手を出します。ドラマの主人公はユーザーですから、開発の当事者になる現実のほうがドラマチックな位です。 

 

スマホからデータを移すところとか、チャット画面とかがあまりにそっくりなので、「現実の話をヒントにあのドラマを作ったんでは」と思うくらいでした。でもこのエピソードは2013年のもので、順番は逆。あるいは現実がドラマからヒントを得たのでしょうか。でもフィクションからの発想というつながりがなくとも、AIの応用として自然に出てくる流れだという気がします。昔、技術を飛躍的に進歩させるのは戦争でしたが、今はIT周辺の資本主義が充分それを推進してしまえると思いますし。

 

…ドラマのほうは、テキストによるチャットから電話で話せる音声へとエスカレートしていきます。こういう作品、たいていラストは怖かったり、皮肉な悲劇だったり、「ぞっとする」ものになりがちなんですが、このドラマのラストもちょっと怖いような感じではあります。でも「もしかしたらこういうことを、私たちは自然に受け止めていくようになるのかも」とも思えてしまうところが、逆に一番怖いかもしれません。もちろん違和感は覚えますが、その違和感は「今の」自分だから感じるものかもしれない。ある新しい技術が出てくると、たいていは拒否反応やネガティヴな可能性に注目するトレンドって起こるのがあたりまえ。でも書籍にも、電気にも、テレビにも、人間は順応してきた。となると……という感じが、どこかでするのです。

 

フィクションで情緒の対象という意味での「人間」の役割人工物に置き換わると、年をとらないとか、欠点がなさすぎるとか、たいていネガティヴな結末につながるものが用意されます。でも現実的なところを考えると、これが資本主義経済の中で利潤を生む消費行動として成立する限りは、ユーザーの要求(ニーズ)に応え続けるでしょう。つまり年をとるように設定したり、欠点を作ったりも可能になるでしょう。もしそこまでいったとき、私たちはそれを拒否するだろうか。受け入れて「今は想像がつかない生活」に順応してしまう可能性もあるんじゃなかろうか。今の自分たちがテレビや電話、あるいはビデオ(記録した故人を「再生」できる)に順応しているのと同じように。一方で、なにかの規制が生まれるとしたら、どういう線を私たちは引くんだろう? そんなことをイロイロ思いました。

 

 

関連おすすめリンクなど

こういうテーマは、以前からいろんな作品で扱われていると思います。その中でも自分がリアリティを持って受け止めたものに、内田美奈子先生のSF漫画『BOOM TOWN』の中のあるエピソードがあります。(未読の方のためにどれかは伏せておきますね)『BOOM TOWN』では、電脳空間に作られた仮想都市とその中のバグを退治するデバッガー、ユーザー、その中でだけ存在できる「人格」を持ったキャラクターたちが織りなすドラマが描かれています。とても20年も前の作品とは思えません。…内田先生は代表作の『赤々丸』連載時から大ファンなのですが、BOOM TOWNは今読んでこそリアルな気がします。

 

マンガ図書館Zで無料公開中されているので、未読の方はぜひどうぞ。

BOOM TOWN 1

超をいくつ付けても足りないおすすめ作品です。(先生の作品は他も全部超おすすめなのですが!(^^))

 

"Black Mirror"自体は、これまた大好きなSF作家テッド・チャンさんが、インタビューでおすすめなテレビドラマとして挙げていたものでした。インタビューは別ブログで拙訳でご紹介しているので、ご興味のある方はどうぞ。

『メッセージ』: 原作者テッド・チャンが語る小説から映画へのプロセス(リンクと拙訳)

 

チャン氏のおすすめで"Black Mirror"に興味を持ったものの、実際に見たのは一時的にはまったドーナル・グリーソンがきっかけでした。IMDbのトリビアに、人間と人工物の恋愛で両方の立場を演じたことがある、と書かれていたのを読んで興味が湧いたミーハーです。(笑) 『エクス・マキナ』(こちらが「人造人間と恋に落ちる(?)人間」ですね)や『アバウト・タイム』ではちょっと気の弱そうな役をやってましたが、『スター・ウォーズ』の新しいシリーズではハックス将軍という悪役をやってますね。(この将軍役のときはなぜか目が大きく見える)『エクス・マキナ』で共演していたオスカー・アイザックもろともスター・ウォーズに出ていたのを知って、遅まきながら「へえ~☆」と思いました。(^^;)

 

…ついでなのもう一つおすすめを。あのドラマのエピソードを見て感じた「違和感」と「リアリティ」は、あれがどこまでも「資本主義的な消費行動」というところから来ていました。身近な人の死から立ち直れない人をターゲットに、露骨に「商売」していることへの違和感も。これは両義的なのですけれど……。…現実のほうのIT起業家さんは、開発したアプリ(データを取り込むものではなく、亡くなった恋人にカスタマイズされたもの)を公開したそうで、それがまったく知らない人からも好評を得ているとのことでした。すごくデリケートな領域だけど、やはり応用展開はすぐそこ、という気がします。

 

さっき、IT周辺の資本主義が戦争並みに技術の進歩を推進できそう、と書きました。そのへんに実感を持てたのは、やはりチャン氏が昨年、BuzzFeedに寄稿していた記事を読んだせいかもしれません。その後日本語版も公開されたのでリンクしておきます。「資本主義とテクノロジーの関係」をリアルに捉えさせてくれました。 

シリコンバレーが警告するAIの恐怖、その本質を「メッセージ」原作者が分析

 

*      *      *

 

…SFの対象だったものが現実になっていく速度が、どんどん早くなって……言い換えると、近未来を扱ったSF作品の賞味期限がどんどん短くなっていきますね。昨今、ほんとによく感じます。思いついたもの、書いたものも、そのままではお蔵にするしかないものがどんどん増えていくなあ……と思いました。(^^;)

『青い紅玉』改めて傑作でした❤

原作は新潮文庫。グラナダ版DVDはハピネットの二代目と廉価なデジタルリマスター版。最近はあまり見ていませんが、見直す時はほとんどリマスター版です。初代ハピネット版はだいぶ前に友人のところへ嫁に出したのですが、モリアーティー教授の写真がついた外箱が好きで、箱だけ手元に残させてもらいました。
原作は新潮文庫。グラナダ版DVDはハピネットの二代目と廉価なデジタルリマスター版。最近はあまり見ていませんが、見直す時はほとんどリマスター版です。初代ハピネット版はだいぶ前に友人のところへ嫁に出したのですが、モリアーティー教授の写真がついた外箱が好きで、箱だけ手元に残させてもらいました。

今、クリスマスにそなえてホォムズとワトスン(うちのギャグ漫画版で「ホームズ」でなく「ホォムズ」(^^))のごあいさつ画像を描いているのですが、先日ネタ出しをしていたとき、「そうだ、ホームズさんのクリスマスといえば『青い紅玉』!」と思いつき、久しぶりに原作を読み直してみました。「クリスマス・ストーリー」としての工夫がこんなに詰まっていたのか……と改めてドイルせんせに惚れ直し、ついでにグラナダ版も見直していろいろ思うところがあったので、書き留めておこうと思います。(※原作、およびグラナダ版独自の脚色点のネタバレになってしまうので、未読・未見の方はご注意くださいませ)

 

…さて、タイトルは『青い紅玉』で記憶していながら、愛読してる原作はタイトルを『青いガーネット』と訳している新潮文庫版なのですが……(なので、『追憶のシャーロック・ホームズ』の文体は延原訳がお手本です)以前はふんふんと読み流していた部分の工夫やユーモアがすごく感じられて、目からウロコが落ちっぱなしでした。全体にコメディ感とほのぼの感がこんなに工夫されていたんだなあ、と。

 

冒頭では別の意味でびっくりで。というのは、すっかり「クリスマス当日の話」だと思い込んでたんですが、じつは「クリスマスの二日後」の話だったんですね。しかもこの時ホームズとワトスンは別居中(違(笑))。…たぶんグラナダ版でスリコミすぎたために、自分のなかで「2人は一緒に住んでて『青い紅玉』はクリスマス当日の話」になってしまってるんだと思います。(^^;)

…帽子の話から宝石に話がつながるところはおとぎ話的でもあり、「(ガチョウが)生きかえって台所の窓から飛んでったといでもいうのかい?」なんて冗談を言うのも面白いし、帽子を受け取りに来たヘンリー・ベイカーとのやりとり――「あれは仕方がないから食べてしまいましたよ」「食べたんですか?」――もすごくコミカル! 

 

そして一番すごいと思ったのが、ガチョウを商っているブレッケンリッジから「賭け」で仕入れ先を聞き出すところ。これまでなんということもなく読んでいたんですが、このアイデアの詰め込み方の細やかさって……!と、なぜか今回は感動してしまったんです。へんな言い方ですが、「ストーリーの段取り」になってない。いちいち「芝居のしどころ」があるというか。ドイルせんせは短編を書くのにも長編を支えられるくらいのアイデアを用意する、と自伝か何かで書いていらしたと思うんですが、まさにこういうことなんだなあと。…個人的には、ドイルせんせは推理作家というより物語作家(ストーリーテラー)だなーと感じるのですが、それを強く感じるのがこういうところです。

 

…今回は目的がクリスマス画像のネタ出しだったので、「そういえばヴィクトリア朝でクリスマスツリーやサンタクロースってありなんだろうか?」と思って調べていたら、サンタの起源の説明の中で「(サンタのイメージ元の)聖ニコラオスは無実の罪で捕まった死刑囚を助けた」というエピソードにぶつかりました。(→Wikipedia「サンタクロース」)『青い紅玉』もまさに「無実の罪で捕まった人を助ける」というモチーフを踏襲しているんですよね。そして……あえて犯人を逃がしてやるラスト。「これで一つの魂が救われると思う」「もしここで刑務所に送ってやれば、あいつは常習犯に転落してしまうだろう」という判断、「寛容と許しの季節」というクリスマス精神が散りばめられていて、いい気持ちで読み終えることができる仕掛け。探偵の話だから犯罪を絡めるという縛りはあるんですが、その範囲でできるクリスマス・ストーリー――クリスマスシーズンのための心温まるお話――として、めいいっぱいの工夫で書かれてるんだなあ……と、しみじみ感じました。

 

グラナダ版も、もともとは頭の中のイメージが「前髪おろしたジェレミー・ブレットが見られる❤」で塗りつぶされていたんですけど……(たぶん他のシーンを飛ばして「寝起き」のシーンを繰り返し見ていたためで、スタートも221B前の路上から、というイメージになってます!(^^;))今回は早送りも飛ばしもせずに(笑)見直して、逆に「原作からこう脚色したのかあ……!」という目線で新鮮に見ることができました。

 

導入部でサクッと宝石の来歴を見せてしまう手際の良さ、そして無実の罪を着せられるホーナーのキャラクターと設定を立体的に膨らませているところ。原作では彼自身も妻も出てこないし、彼の扱いは正直雑だった(笑)ので気になってました。その原作にない「解放されたホーナー」のシーンを付け加えるために、「ホーナーが捕まったままじゃ(クリスマスを)祝う気分になれない」ワトスンに言わせているのもうまいなあ、と思いました。ここまでの過程でホームズは、帽子の持ち主のヘンリー・ベイカーが宝石とは関係ないとわかると途端に彼に興味を失ったり、「ホームズらしい」ところが細かく演技で表現されていました。これも原作を読んでいると感じない部分で、映像版独自の細やかな表現です。

 

…こういうホームズのある意味冷淡に見えるところと、ワトスンのヒューマニズムを対照させて互いを強調する仕掛けになっていて、素晴らしい脚色だと思いました。「クリスマス・ストーリー度」も上がっています。(…あ、再度余談ですが、グラナダ版でホームズが宝石をネコババしているよーに見えるのは気になっています!(^^;)賞金1000ポンドと聞いて嬉しそうにしていたコミッショネアかわいそう……(笑))

 

イモヅル式に他のバージョンの『青い紅玉』も見たくなってきました。うちにあるのはたぶん犬版のアニメとピーター・カッシングのテレビシリーズ版くらいですが、見直してみようかなあ……。(じつは『青い紅玉』というタイトルを最初にインプットしたのは犬版。原作にはまるはるか前でした。その当時こうなるなんて想像もできませんでした……(笑))

「こんなにも自分を嫌わずにいられたら」/『真夜中のパーティー』(1970)映画と戯曲感想

 

公開当時ゲイムービーのエポックメイキングだったという『真夜中のパーティー』。レンタルで鑑賞しました。ゲイ仲間のバースデーパーティーに事情を知らないストレートの旧友が訪ねてきて……という集団心理劇。もともとは舞台劇で、ニューヨークの1960年代のお話です。じつは以前、大好きなマーク・ゲイティス氏がイギリスでこれの舞台に出演(しかもリアルの「夫」様と共演!)とTwitterで宣伝していて、調べたら映画化作品のコレがあったので、「見たいなー」と思い続けていたのです。そしたら少し前に、運よく近所のツタヤの良品発掘コーナーに入ってきたのでした。

 

さて、設定だけ見るとコメディにもなりそうなお膳立てなんですが……けっこうつらい映画、かつ引き込まれる映画でした。というのは、ゲイであることをメタファーとして、「生きにくさ」を抽象的なレベルで自分に引きつけて見ることができるからです。そういえば一般映画として公開されるタイプのゲイムービーって、こういう「生きづらさへの共感」が大きな要素としてあるなあ……と思いました。この作品は腐女子目線でも萌え要素はほぼゼロですし、60年代風俗が今見るとイタかったり、不愉快なくらい「辛い」ところもあったのですが、なぜか返却するまでに三回見返してしまいました。別の引力があるんです。(音楽にも時代感があって……子供の頃エレクトーンで習ったバート・バカラック『ルック・オブ・ラブ』が使われてたりして、初見なのに妙なノスタルジーも味わいました。(^^))

 

ただ、原作が舞台劇のせいか台詞が多く、しゃべり方も早くて、初回は意味をとれないところがけっこうありました。字幕自体が字数制限ではしょられているためか、納得のいかない台詞も多くて……で、探したら原作戯曲の邦訳があったので、そちらも図書館で借りてみました。(引用する台詞は字幕の記憶や戯曲の訳から要約しています)

 

出てくるキャラクターたちは30歳前後で、主人公のマイケル(びみょーに宮根誠司似)はパーティーを開く部屋の主。誕生日を迎えるのは別の人です。恋人の台詞によると「失業手当を映画なんかに浪費して」いて、部屋には映画女優のドローイングがたくさん飾ってあります。(あいまいに映画業界の人っぽいんですが、戯曲では脚本を書いてボツになった経験を口にしています)ブランドものを買いまくり、借金を重ねては逃げることを繰り返しているらしく、一方でマメにミサに通うカトリック。分析医にかかっていて、五週間禁酒しているところ。毒舌家で、口を開けば個人攻撃や憎まれ口めいたジョークばかりです。

 

彼と毎週土曜日に会っている恋人のドナルドも分析医にかかっていて(ある意味この時代の「流行り」でしょうか?)、「自分がこうなった」こと……ゲイであることばかりでなく、「ものごとを途中で放り出す」「失敗すると安心する」……のは両親のせいだと言います。こう並べるということは、ゲイであることを自分の欠点だと思っているんでしょうね。映画の字幕ではそこ止まりの説明ですが、戯曲では「失敗すると母が"喜んで"愛してくれる」という体験を幼少時から繰り返してきたためだと自分で分析。(あるいは分析医が言ったのでしょうか)ハンサムで体形にも恵まれ読書家で、薄給の清掃人でいることを「天職」と言います。借金を踏み倒しながら気ままな暮らしをしているマイケルとは対照的で、マイケルはドナルドを「良心的で働き者で借金のない、ゲイの鑑」と皮肉ります。 …一応恋人と書きましたが、本人たちがそうじゃないと言ったり、それなのにすごく依存しているところがあったり、微妙な距離感です。

 

60年代なのでエイズが問題になる前の世界ですが、冒頭の二人のシーンでは「その時代のゲイ」のシリアスで個人的な悩みが語られます。でもマイケルはあまり空気が湿らないようにまぜっかえします。こうしてごまかしながら生きていないと破綻してしまうんだろうな……という感じがしました。つっぱっているようで危ういバランスの上に立っている人。ポンポンとジョークを飛ばして好き勝手にしていながら、その裏で自分がゲイであることを「治したいもの」、苦痛の元と捉えているようです。

 

同性婚が広がりつつある国の今の感覚とはかなりのズレがあるでしょうが、今も世界がすべてそう変わっているわけではないですし、逆にこういうところがこの映画に普遍性を与えているように思います。「自分の中のある部分を自分自身が肯定できない」という、おそらく多くの人が共有する葛藤と重ねて見ることできますから。

 

とはいえ、アパートに集まる他のメンバーはさまざまです。小柄で容姿は残念なオネエタイプのエモリー、黒人の書店員バーナード、写真家のラリーと教師のハンク(離婚調停中でラリーと同棲中)、この日に32才になるユダヤ人であばた面を過度に気にするハロルド。そこにハロルドへの「プレゼント」として買われた男娼(マット・デイモン似。『真夜中のカーボーイ』を踏まえたジョークでカウボーイハットをあてがわれています)、マイケルの大学時代の友人で弁護士のアランが訪ねてきます。マイケルは彼に対してゲイであることを隠しているので、このパーティーがゲイの集まりであることを隠そうとします。   

図書館で借りた原作戯曲の邦訳『真夜中のパーティ』。なぜか「パーティー」ではないです。残念ながら古書しか出回っていないようですが、発行は劇書房さん。あ、『ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン』出してくださってたところですね❤
図書館で借りた原作戯曲の邦訳『真夜中のパーティ』。なぜか「パーティー」ではないです。残念ながら古書しか出回っていないようですが、発行は劇書房さん。あ、『ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン』出してくださってたところですね❤

途中でとあることから流れが変わり、マイケルは「心から愛している人に電話で告白する」というゲームを始めるのですが……ちょっと唐突に感じたところでした。戯曲を読んで、疑問のうち字幕の字数制限が原因だったらしいところは解決したんですが、やはり根本的な疑問は残りました。詳しく書くとネタバレになるので控えますが、マイケルの言っていることを信じると、彼はあることを最初から確信しているはずなのです。でも前半ではそういう反応をしていなくて、嘘をついてるわけでもない。前半と後半が、どうもうまくつながっていないように見えました。単純にカットされた結果でしょうか。映画ってそういうこともありますから……。(映画を見た後は「自分だったらこういう流れにするのになー」という改正案(?)が脳内に湧きまくりました。(笑)でもその「改正案」は戯曲を読んだらちゃんと入っていたんです……これをカットするとは思えないので、映画では自分が見落としたのかな。三回も見たのに!)

 

…そのへんのもやもやしたところは残ったのですが、やはり引力のある映画・戯曲でした。ゲイの世界は思った以上に見た目重視なんだなあとか……。あと、へんな言い方ですが、ゲイのカップルならではの「かっこいい」対立もありました。常に複数の恋人がいないと我慢できないラリーと、一夫一夫にこだわるハンクが互いの思いをゲームの電話を通してぶつけ合うシーン。妥協ともなんともつかないやりとりが終わると、電話を置くカットがまるで拳銃を置くようで、電話が拳銃がわりの決闘シーンみたいな緊張感が独特でした。ヘテロでこうはいきますまい。

 

そしてやはり、先ほど書いた「生きにくさ」への共感。タイトルに引用した「こんなにも自分を嫌わずにいられたら」は、終盤のマイケルの台詞です。この映画で一番「刺さった」台詞がこれでした。(じつは戯曲は同箇所の台詞が微妙に違い、「どうしてこんなに憎み合ってしまうんだろう」となっています。同じ原文で翻訳の解釈が違うだけかもしれませんが、原文同士の引き合わせはしていないので未確認です)

 

単純に見目好い俳優さんを見る楽しみを除けば、腐女子としての自分がゲイを扱った映画に惹かれる上で、この「生きにくさ」への共感と、先ほどの「男性同士でないと出ないカッコよさ」が持つ意味は大きいんだな、と思いました。振り返って自分が創作するときを考えると、当然「自分が面白いと思う作品」を作りたいわけで、この辺の好みをはっきり意識できたのはちょっとした発見でした。もちろん自分にとっての「引力」もそれだけではないんですけれど。

 

…映画のキャストは舞台のオリジナルキャストそのままだそうで、自分は知らない人ばかりでした。が、ハンク役のローレンス・ラッキンビルだけはなんとなく見覚えがありました。調べたらなんと、スタトレ映画でスポックの兄弟サイボックを演じていた方だそうです。でもこれを覚えていたとも思えないので、まあ「なんとなくこういう顔って見るよね」という感じかな?(あ、チョイ役ですが、唯一はっきりわかった人がいました!のちにボンドガールをやるモード・アダムス!写真家ラリーの仕事のシーンで、モデル役でちらっとだけ顔を見せました。若い!)

 

萌えはほぼゼロと書きましたが、二回目以降ハンサムに見えてきたのがドナルド役のフレデリック・クームズ。IMDbには写真がないのですが、ググったところ、この作品を手掛けた大物プロデューサーのドミニク・ダンとの間にロマンスがあった、という記事にぶち当たりました。2人とも故人ですが、記事はこちら。(ダンの伝記企画が進行中という記事で、中ほどの白黒写真の右の人がクームズです)といってもスキャンダルというより、比較的「いい感じ」のエピソードとして書かれているように見えます。記事によれば、クームズは自身も劇作や演出をする「温かくチャーミングでおおらかな男」で、毎年クリスマスに孤児のためにプレゼントを集める大きなパーティーを開いていたとか、ダンにポジティブな影響を与えたとか書かれています。ダンは既婚者で子供もいて、本は明らかに「芸能界セレブの同性愛暴露本」のようなんですが、スキャンダル感が薄く感じられたのは、おおっぴらに男性とデートし始めたのは奥さんの死後、と書かれているためかもしれません。(イマドキ「同性愛だからスキャンダル」という感覚はないですが、奥さんの生前の浮気だったらやはり腐女子の目にも印象悪かったかも★)

 

マイケル役のケネス・ネルソンは、後年アメリカからイギリスに活動場所を移したそうで、IMDbのバイオにご本人の言葉が紹介されています。イギリスのほうが自分に合っていると説明する言葉ですが、
「ここではみんな『ランボー』と聞いてもシルベスター・スタローンを思い浮かべたりしない」
というくだりがちょっと印象に残りました。

 

…この作品のキャストの多くが実際にゲイだったそうで、プロフィールを見ると、クームズやネルソンを含めて何人もがエイズ関連で亡くなっています。時代を感じますし、ゲイティス兄がよくHIV検査の啓蒙ツイートをしていることの「現実感」が改めて理解できました。

 

 

さて、冒頭で書いた通り、この映画に興味を持ったのは、そのマーク・ゲイティス氏と同性パートナーのイアン・ハラードさんが、この戯曲の舞台"The Boys in the Band"に出演したためでした。ゲイティス兄はハロルド役だったそうなんですが、これがもう、舞台の話がなかったとしても「ゲイティス兄似合う! てか似てる!」と思うくらい。見た目もですが、物腰や台詞回しも。『リーグ・オブ・ジェントルメン』での女装含めた「やりすぎ百面相」を思えば、何でもありな方ですが……(笑)、でもそこまでいかずともまんま変換可能です。「この似姿から発想した企画なんじゃないの?」と思うくらい。おかげで初見は「似すぎてる」のが気になって落ち着きませんでした。(笑)ハラードさんは容姿で当てはめるとストレートの旧友アランに一番似ていましたが、役はマイケルだったそうなので主役ですね。ゲイティス兄脚本作品で拝見して以来、ゆるくファンなので、お二人が共演の舞台版も見てみたかったです。

『ダンケルク』鑑賞といろいろの日

今日はちょうど仕事の納品を終えたタイミングで、見たかった『ダンケルク』をすべり込みで鑑賞してきました。

 

第二次大戦時、フランスのダンケルクの海岸に追い詰められた英軍兵士を、対岸のイギリスから民間船が協力して救出した、という逸話を映画化したもの。この出来事自体はドラマの『刑事フォイル』で初めて知りまして、以来興味がありました。その題材の映画化、これはぜひ見ておかなくちゃ!と思っていたのですが、仕事の他イベントが続いていたのもあり、なかなか時間がとれずとうとう最終日の鑑賞になってしまいました。でも行けてよかったです!(このへんの歴史はイアンの「領域」でもありますし!)偶然ですが、すこし前にご紹介した"Queers"で初々しいゲイのティーンエイジャーを演じていたフィン・ホワイトヘッド君も出ているというので、こちらも楽しみでした。メインキャラは複数ですが、ホワイトヘッドくんの役はその中でもメイン中のメインでありました。

 

ちょっと構成が変わっていて、映画はフランスからあの手この手でイギリスに帰ろうとする若い兵士 (これがホワイトヘッドくん)、イギリスから救出に向かう民間船(船長役が『ブリッジ・オブ・スパイ』マーク・ライランス)、同じくダンケルクに向かう戦闘機スピットファイア(パイロット役がトム・ハーディー)の三つのシーンが同時進行します。二次大戦映画のイギリス軍というと、レーダーや模型を使って戦況を大きく把握するシーンが良く出てくるイメージがあったんですが、今回はそういった全体像を解説するシーンが一切なく、台詞も少なく、ひたすら「現場」を見せていきます。爆撃や船の沈没などのシーンも、広い海岸を見せるシーンもいちおうありますが、そこで迫力を出すという感じでないんですね。題材から予想するよりもずっとパーソナルな印象で、大作戦争映画という感触ではありませんでした。「物語」という感じでもない。ひたすら現場、出来事を見せる、体感させる、という感じでした。

 

三つの「現場」で常に「どうなるんだ」というサスペンスがあり、うまく集中力が途切れないように引っ張っていきます。へんな言い方ですが、昨今インターネットの影響で1分の動画でも「長く感じる」ようになった観客を「飽きさせない」工夫って、こういうものなのかもしれないな……なんてことも思いました。緩急で言うと緩がなく、ほぼ急の連続なのです。ノンストップでゴリゴリ押していく感じで、最後も「生きて帰れてよかった」という大団円ではなく、これからまた別のところへ送られるんだろうな……という方を強く感じました。最後に出てくるチャーチルの言葉「We shall never surrender.(我々は決して降伏しない)」皮肉に響きます。うまい締めくくり方だなあ、と思いました。

 

ただ個人的に残念だったのは、協力した民間船の例として描かれるライランスの船がプレジャーボートだったこと。ないものねだりですが、できれば漁船と漁師で見たかったです~!(それ一番期待してたので!(^^;))

 

…今回はとにかく体験する映画で、情緒や心理はすごくシンプル。でも現実にはこういうものかもしれないな、とも思います。見た後は……ジェットコースターに乗った後のような酩酊感があったのですが、一方で映画としての感動というか印象が薄い、という感じはありました。言葉にしにくいというより、何か言いたい感じにならない。でもつまらないんじゃないんです。ただ、見た後「この映画について何かやみくもに語りたい~っ!」…という感じにならない。(書いてるけど(笑))たぶん臨場感がメインディッシュで、ある意味哲学というか、背骨を通る理屈の部分を感じないからかな……と思います。(チャーチルの著作もそんな感じで、生き生きと描かれてるけど妙な印象の「薄さ」も感じます)ここんとこ体調もイマイチなので、そのせいももしかしたらあるかもですが……でも過去に見たクリストファー・ノーラン監督の映画……プロフィールを見たら『インセプション』『プレステージ』『インソムニア』『メメント』…あたりは見ていたのですが……思い返すとみんなわりとそんな印象があります。凝ってるなーとか、よく考えてあるなーとかは感じるんですが、のめり込むって感じになった覚えがない。これは個人的な好みの問題かもしれません。

 

でも繰り返すようですがつまらなかったわけではまったくなくて。ミーハー目線では顔立ちの美しいフィン君は見ていて目の保養でしたし、ハリー・スタイルズはああしているとなんだか若い頃のルパート・グレイヴスみたいで、こちらも目の保養でした。他にジェームズ・ダーシー(❤)キリアン・マーフィーケネス・ブラナーなんかも出ていました。(ブラナーは将来チャーチルがやれそうなお顔になってきましたねー…)

 

最後にホワイトヘッド君が新聞で読んでいたチャーチルの演説は、ググってみたら英語版wikipediaやYoutubeにありました。やはり有名なスピーチなんですね。

Wikipedia: We shall fight on the beaches

 

 

ともあれおかげさまで自分に活も入ったので、イアン用の遠回しな資料(図書館借りして手元にほしくなった『第二次世界大戦の起源』)を帰りに買ってきました。がっつり今回のテーマではないですが、彼が詳しい領域の基本図書の1つだと思うので……これから図書館本から付箋を移そうと思います♪

著者はA. J. P. テイラー。大好きなE. H. カーせんせの著作でもチラチラと名前が出てくる方です。
文庫なのはありがたい❤ これで線も引き放題だー♪(笑)

 

10/20は他にもいろんなことがてんこ盛りの一日でした。まずはテッド・チャンさんのお誕生日。(『メッセージ』販売&レンタル開始しましたね。チャンさんの特典動画がブルーレイにしか入ってないので、今まで手を出さなかったブルーレイプレイヤーを買いました)皇后陛下もお誕生日だったそうですね。

 

そしてフランスの女優ダニエル・ダリューが亡くなったそうで。21世紀になっても出演作があったことをさっき知りました。個人的には記憶がいきなりジェラール・フィリップ『赤と黒』くらいに飛んでしまうので、失礼ながらご存命とはまったく思っていませんでした。100才でいらしたそうですね。フィリップはかなりの早世ですし、そう思うと彼の生きていた時間と地続きなんだなあ(?)……と、妙な感慨があります。

 

 

個人的なほうでは、今日は映画に行く前に『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生の背中~』が到着して、一気に読みました。先日新聞で知った漫画で、F先生のアシスタントをなさっていた漫画家のむぎわらしんたろうさんが、先生の思い出をお描きになったもの。中には写真などの資料や、先生がむぎわらさんに書いたアドバイスなどもそのままの文字で載っています。

「漫画は一作一作初心にかえって苦しんだり悩んだりしながら書くものです」

という一文など、深いところに刺さりました。漫画に限らないお話として、いつでも思い出したいお言葉です……。

亡くなる直前までお仕事をなさっていた、というお話は以前読んだことがあったのですが、改めて読むと泣けてしまいます。……じつはF先生は昔から大好きでした。でもファンとしてはヨコシマというか(?)、藤子A先生が書いた回想記『二人で少年漫画ばかり描いてきた』からファンになったので、半分ご本人のファンです。(うちにあるのは文庫のこちらのバージョンですが、新バージョンで今も流通しているのは嬉しい❤)作品では、評価が高いシリアスなSF短編よりも明るいほうが好きで、一番好きなのは『21エモン』です。(そうたくさん読んでるわけでもないですけど……) …こちらはまた語りだすと長い話になっちゃうので、いつか機会があったら改めて。

今回のこの本、F先生ファンの方には心からおすすめです。

 

…ふう、ブログ3~4回分くらいネタがてんこ盛りの一日でした~。(笑)

賞味期限の切れた「世紀末」/「カッシーニ」と『交霊航路』の思い出

昨夜は土星探査機カッシーニがお役目を終え、土星に落下して燃え尽きるのだというニュースがありました。ここで公開している改訂版『交霊航路』でもほんの一瞬助演(?)していただいてるので、「ええっ、あのカッシーニさんが……」と妙な感慨があり、お見送りをしようとYouTubeで管制室のライブ配信を視聴しました。ネットはありがたいもんですね☆ (贔屓俳優ジョナサン・アリスさんが『オデッセイ』で管制責任者をやってから、「NASAの管制室」自体が萌え対象にもなっております!(笑))もちろん映像は管制室で、リアルのカッシーニの映像が見られたわけではないんですが、拍手の起こった瞬間を目撃できました。二十年間おつかれさまでした!

 

NASAの公式サイトには特設ページもできています。「グランド・ファイナル」ってかっこいいですね……。

Cassini: The Grand Final

 

「カッシーニ」がこの世からいなくなることへの感慨は、ちょっと妙な角度からでもあります。ご存知の方も多いと思いますが、じつは二十世紀の「世紀末予言」に関するトピックの1つでもありました。

 

昭和の大ブームになった「ノストラダムスの大予言」にある

「1999年、7の月、空から恐怖の大王が降ってくる……」 

という部分の「恐怖の大王」、これの候補のひとつがカッシーニだったんです。

 カッシーニの打ち上げは1997年ですが、原子力電池を積んでいて、1999年の夏に地球をスイングバイ(天体の重力などを利用してスピードや軌道を変えること)するというスケジュールでした。「恐怖の大王」説は、そのスイングバイのときにカッシーニが地球に落下し、放射性物質がまき散らされて壊滅的な被害が……という説でした。いろいろツッコミどころはあるとは思いますが、世紀末ブームの中で「原子力なんたら」が「空から落ちてくる」と聞けば、想像を膨らますには充分だったと思います。

 

…というわけで、自作では申し訳なくもそのへんのイメージで使わせていただいたのですが、それももう「今はなき土星探査機」の話になっちゃったんですね……。その他いろいろ「世紀末っぽいネタ」をいれたのをなんとなく思い出したのですが、今高校生の方がすでに21世紀生まれだと考えると、このへんもだんだん注記がいるようになるなーと……「2000年問題」も今ではピンとこないですね。もはやレトロネタかもです。(笑)

 

…いちおう書きますと、2000年問題というのは、西暦表示で19●●年の「19」の部分を省いて二桁で表示する形式がよく使われていたので、1999年から2000年になるときに99→00となってしまい、コンピューターが狂うのでは……という問題でした。個人的には「わかってるならコンピューター会社が手を打ってくれるだろう」とのんきに構えていましたし、特に問題も聞かなかったように記憶していますが、もともと「1999年で世界は……」という説がいろいろ流行っていたので、「説得力」を感じる土壌はあったように思います。

 

1999年が過ぎると、マヤの暦がそこで終わっているという2012年がブームになって、たしか映画もありましたね。(これは見てない気がする)。なんのかんの言っても、終末予言ネタはちょっと心惹かれるものなのかもしれません。そのほかにも惑星直列とかグランドクロスとか(前者は太陽系の惑星が一直線に並ぶので重力の異変などが起こる、後者は同様に惑星が十字架型に並ぶので何かが起こる……とささやかれていた説。残念ながら(?)何もありませんでした(笑))……ちょっと怖いけど壮大でワクワクする、「世紀末」っぽいネタっていろいろブームがありましたね。今思うと楽しかったなあ……。(笑)そして時事ネタはどんどん歴史トリビアになっていくのだなあ……と、今回カッシーニさんを見送りながらしみじみ感じたのでした。

 

(ところで、今回「世紀末」と打とうとするたびに「聖飢魔Ⅱ」と先に出ました。たしかに元信者なんですが、そ、そうなってるの?うちの辞書?(^^;))

 


[作品について]

『交霊航路』は10年ほど前に同人誌で出した小説で、SFとホームズパスティーシュ風の趣向が混じり合ったごった煮作品です。初めて小説で長めのオリジナルを書いたのがこれで、少数ながら好意的なフィードバックをいただけて、文章作品を書く励みになった思い出深い作品でした。その後某小説大賞応募のために改稿し、一次選考通過で講評をいただくことができました。(ホームズネタも特に予備知識はいらない書き方を心がけたつもりでしたが、やはりこの部分が一般向けにはちょっと……とご指摘いただきました。内心覚悟もありましたので納得です。(^^;)でもご講評はとても参考になりました)

 

その後また少し手をいれ、昨年からサイト内のライブラリーで全編無料公開しております。ご閲覧くださった皆様、ありがとうございます。カッシーニや2000年問題は改稿時に時代感を出そうと入れたので、昔同人誌でお読みいただいた方はご記憶にないと思います。(入れていたとしても忘れるくらいの扱いですが(^^;))その他も特に後半はディテールをかなり書き足しているので、よかったら昔お読みいただいた方にもご覧いただけたら嬉しいです。

Queers:モノローグで辿る英国のゲイの一世紀

イギリスで男性の同性愛行為が「違法でなくなった」のは1967年のこと。今年はそれから50周年にあたります。この夏にBBCがそれを記念し、"Gay Britania"という企画を展開していました。それに関連して出たのが、ご紹介する"Queers: Eight Monologues"マーク・ゲイティスさん(海外ドラマ『SHERLOCK』制作・脚本・マイクロフト役)が、Twitterでサイン本の宣伝をしていて知りました。Gay Britaniaの一環で放映された独白劇シリーズをまとめた戯曲集で、ゲイティス氏は全体のキュレーションと一本目の執筆を担当しています。

 

 

ゲイティス氏自身オープンなゲイであり、パートナーのイアン・ハラードさんとシビル・パートナーシップ(同性カップルに結婚に準じた権利を認めるイギリスの制度)の関係を結んでから10年近くになるそうで、LGBT関連の運動にもよく参加しておられます。むしろ推進役の一人と言ったほうがいいかもしれません。 

 

…ゲイティス氏のファンでもあり、自分の作品中でも及ばずながらイギリスのゲイのキャラクターを書いているので、このへんのリサーチはライフワーク化しているところ。これは一石二鳥であります。さっそくkindle版無料サンプルをダウンロード。サンプルはゲイティス氏によるイントロダクションだけでしたが、ご自身の少年時代の思い出から今回の企画の意図、八本のエピソードの紹介……と引き込まれてしまい、そのままコミティア会場からkindle版を購入しました。(当日店番しながらサンプルを読んでいました(笑))衝動買いでしたが後悔なしです!(^^)

 

イントロダクションによると――

 

この一世紀のイギリスを舞台にLGBT+の歴史全体を描こう、とは思わなかった

それよりずっとやりたかったことは、ゲイの男性の経験を詳しく掘り下げることだ」

(以下引用部は拙訳)

 

 ――とのこと。そんなわけで一つ一つのエピソードでは、節目になる年に居合わせた個人の体験が語られます。それぞれ約20分の独白劇=一人芝居が全部で八本で、同じキャストで舞台でも上演されたそうです。キャストのうち、少なくとも自分が確認している四人――ベン・ウィショーアラン・カミングイアン・ゲルダー、ラッセル・トーヴィー――は、実生活でもオープンなゲイの俳優さんです。

 

順不同で三本読んだところなんですが、資料という言い訳(?)を忘れて引き込まれています。うちの本をお読みくださっている方にはたぶん琴線に触れる内容だと思うので、少しご紹介してみたいと思います。

 

購入したkindle版"Queers: Eight Monologues"。表紙はベン・ウィショー、アラン・カミング、フィン・ホワイトヘッドら8人の出演者さんたち。Paperwhiteなのでモノクロなのがちと残念。
購入したkindle版"Queers: Eight Monologues"。表紙はベン・ウィショー、アラン・カミング、フィン・ホワイトヘッドら8人の出演者さんたち。Paperwhiteなのでモノクロなのがちと残念。

各エピソードの設定年代とタイトルは以下の通りで、ちょうど100年間です。(本は年代順の掲載ですが、放映の順番は少し違うようです)

 

1. (1917) The man on the platform

2. (1929) The perfect gentleman

3. (1941) Safest spot in town

4. (1957) Missing Alice

5. (1967) I miss the war

6. (1987) More anger

7. (1994) A grand day out

8. (2016) Something borrowed

 

読み終えたのは一本目、七本目、八本目で、最後の八本目では一番最初のエピソードをふっと思い出す仕掛けもありました。

 

一本目の"The man on the platform"(プラットフォームにいた男)は、第一次世界大戦から帰還した兵士の切ない回想。主人公は戦地で担架運びをしていましたが、上官との間に淡い交流があり……この淡さが、この時代のリアルな空気なのでしょう。でもそれゆえに、読み終えた中では一番「JUNE」らしい余韻を感じた一本でした。

 

演じたのは『007』シリーズのQなどで大人気のベン・ウィショー。前述の通りマーク・ゲイティス作の一本なのですが、この人はほんとに、良い意味でセンチメンタルなお膳立てを作るのがうまいなあ……とつくづく思います。ウィショーさんもセンチメンタルな表現でテンションを高めるのがすごく上手い俳優さんなので、鬼に金棒。さりげない内容なのにうるっときました。中で作家のオスカー・ワイルド(1854-1900)が話題になりますが、イントロダクションでゲイティス氏はこう語っています。

 

「ワイルドはこのモノローグに絶好のスタート地点だと思った。

しかし(物語は)この100年間の内に収めたかった。

じゃあ仮に、オスカー・ワイルドにまつわる記憶を持つ

誰かの視点をとったらどうだろう?
ひょっとしてその人物は、
ワイルドがレディング監獄に連行された恥辱の日に、
プラットフォームにいたんじゃないか?」

 

それで作品はワイルドそのものの物語ではなく、主人公が子供の頃に駅で「連行されるワイルド」を見かける、という扱いになっていました。そのときワイルドと目が合った主人公は、「自分が何者か」を見透かされた気持ちになります。

 

1885年に「ラブ―シェア修正条項」が成立してから同性愛行為は違法となり、オスカー・ワイルドはその罪で有罪となって収監されました。ゲイティス氏はイントロダクションでこの条項を「脅迫許可証」と書いています。たしかに、「金持ちの男性と同性愛関係を結んで後でゆする」という行為にお墨付きを与えたようなものですね。この時代の同性愛を題材にした作品では、この手の脅迫がよく触れられますね。

 

タイトルになっている「プラットフォームにいた男」は、この時のワイルドでもあり、最後にもう一度、泣けるシーンがあって二重の意味を持ちます。…イントロダクションでは、ワイルドの恋人だったアルフレッド・ダグラスが詩の中で同性愛を指した「その名を口にしえぬ愛」(the love that dare not speak its name)を踏まえて、「その名を口にされかけた愛」(a love that almost spoke its name)と表現されています。ラストのなりゆきは切なくて素敵ですが、いつか日本で放映されることを願って、詳細に書くのは控えておきます。

 

(たぶん非公式の露出なのでおおっぴらにはおすすめできませんが、映像はYouTubeで見ることができました。独白劇なので全部台詞で理解するしかなく、自分は聴き取るのは無理なので(^^;)、本で辞書を引きまくれて助かりました。余韻のあるラストになっていました)

 

次に読んだ七本目の"A grand day out"(大いなる小旅行)は、同性愛行為を合法とする年齢が21歳から18歳に引き下げられた、1994年のお話。この変更の審議と議会での投票が行われた時、おおぜいのゲイが議会に押し掛けたそうで、そのデモに参加した地方出身の17歳の少年の独白です。来る気はなかったけど、その日の朝に新聞にデレク・ジャーマンの訃報が載っていて……と、「行かなくちゃ」と衝動に駆られてからの体験を語ります。ジャーマンはエイズで亡くなった映画監督で、当時日本でもこの方の一連の映画のちょっとしたブームがありました。じつは、「Queer」(クイア:「奇妙な、いかがわしい」。俗語で同性愛者を軽蔑的に指す)という言葉を強烈にインプットしたのが、ジャーマンの映画『エドワードⅡ』の同名のムックだったという個人的な思い出があります。ジャーマンの名前が出てきて、その周辺のぼやけた記憶が掘り返される思いがしました。

 

初々しい主人公を演じるのはフィン・ホワイトヘッド。明日公開になる『ダンケルク』のメインキャストの一人です。

 

次に読んだのは、八本目にして全体の締めになる"Something borrowed"(借り物)。時代は2016年で、パブを会場に同性結婚のつつましい披露宴を控えた新郎の独白です。これまでのいじめなどの体験と、「夫」になる人との出会い、母への思い、その他もろもろの思い出や未来に向けた希望、警句などをチャーミングに語ります。演じるのはアラン・カミング。個人的には初めて名前を意識したのが『プランケット・アンド・マクレーン』でのおネエっぽい貴族役だったので、ずっと自然に「そういう」イメージでした。最近では『チョコレート・ドーナツ』でフェミニンなゲイ役を直球でやっていましたね。(『チョコレート…』は映画としてはちょっと残念な部分も感じましたが、逆にその理由を考えたことが勉強になり、カミングのみごとな歌唱力には素直に驚いた一本でありました)

 

そしてここでもオスカー・ワイルドが引用されます。主人公曰く、「ゲイの結婚にオスカー・ワイルドの引用は欠かせない」――しかも、「かつて介護施設で本を朗読してあげた盲目の老人」から聞いた言葉であり、その老人はワイルドを見たことがある、というので――年齢を考えると同一人物の可能性は低いですが、最初の一本が思い出され、百年の時の流れが目の前に立ち上がるような感覚がありました。

 

…というわけで、キャストも劇場映画主演クラスの方たちが参加してますし、日本でも見られたらいいなあと思うのですが……ちょっと細かい解説が必要な内容ではあるし、あくまで「イギリスでの」ゲイの歴史であり、日本ではまったく状況が違い、フィクションではあるものの史実の俯瞰と記念の要素が大きいので、日本でのテレビ放映はちょっと難しいかなあ、とも思います。でも、それこそNHKあたりでその手のドキュメンタリーと抱き合わせにすれば、いい企画になるんじゃないかとは思うんですけど……いや、自分が字幕付きで見たいだけなんですが。(笑)

 

 

*      *      *

 

 

 私事になりますが、じつは1967年は自分の生まれた年でもあります。なので、この年に「犯罪でなくなった」ことを知ったときは、ちょっと不思議な縁を感じました。「えっ、わりと最近のことなんだ」という驚きもありました。50年と言うとかなり昔に感じますけど、厚かましくも16くらいから感覚が変わってない(笑)身としては、「自分が生まれた年」とい言い換えると充分「最近」なんですよね。とはいえ自分は女性のヘテロですし、目線はあくまで腐女子という「外側」からのものでしかないと思います。でもその立場から「鑑賞」を超えて「共感」できるものも感じるんです。(「女性として」というとかなり重い話になるので、ここでは「腐女子」のほうを念頭におきます)

 

…たとえば、最後のエピソードで同性結婚の披露宴を控えた主人公がこんな言葉を口にします。

 

勝利のなかでも、人は何かを失うわ。反逆者、破壊分子、アウトローだって感覚を。

 

外野なのに恐縮ですが、これ、なんとなくわれわれ腐女子の状況にも当てはまる気がしました。同性愛が受け入れられていくにつれて「禁断の」という切り口は成立しなくなり、BL的表現もありふれて特別なものはなくなっていくこと。日陰の花を隠れて愛でるような感覚や、独特の緊張感のある美的感覚が薄れていくこと。いい悪いは別にして――というか、美的な問題としてはいいも悪いもないし、当事者の方たちとはまるで違う切り口で見ていることは承知の上で書きますが――皮肉にも「失う感覚」があることは重なるなあ……と思いました。

 

でもそうやってフィクションの題材として見る場合は、立脚点や時代設定を変えることで違うものを表現することは可能なわけです。「解釈」は「現在」の影響を受けて微妙に変わっていくとしても、JUNE/BL表現の選択肢は広がったのかもしれません。あるいは垣根がなくなっていき、ジャンルの境界がますますあいまいになっていくのかもしれませんが。個人的には特化したBLより境界的アプローチが好きなので、そういう流れは歓迎しています。

 

…うちの本をお読みいただいている方はお気づきかもしれませんが、現在kindleで配信中の小説はすべて、イギリス人のキャラクターを主人公として、男性同性愛がなんらかの形で絡むものです。(「ほとんど」だと思っていましたが「すべて」だと今気づきました!(^^;))必然的に、Queersで触れられているトピックをいくつか取り込んできました。そして意識したわけではないのですが、リリース時期を下るにつれて時代設定が現在に近づいてきました。(違法時代の『追憶のシャーロック・ホームズ』から始まり、同じ19世紀の『王殺し』、1970年代の『脳人形の館』と来て、現行のイアンシリーズは現代です)このタイミングで手に入ったこの本は宝物です。大いに学びたいところでアリマス。

 

これから読もうと思っているのは五本目の"I miss the war"(あの戦いが恋しい)。主人公は60代のゲイの男性で、時代設定は1967年。イントロダクションによると、合法化を必ずしもすべてのゲイが歓迎したわけではなかった、という切り口のお話だそうです。これはゲイティス兄――私より8ヶ月「お兄さん」です――がロンドンに出てきた当初にゲイ・パーティーで出会った人をヒントにしているそうです。

 

Queers: Eight Monologues (NHB Modern Plays) 

 (上記リンク先はkindle版。商品ページのペーパーバックへのリンクがなぜか別の本になっているので、
ペーパーバックのページにもリンクしておきます。→Paperback版

 

表紙左下のラッセル・トーヴィーさんは、SHERLOCKシーズン2の『バスカヴィルの犬』で
ヘンリー・ナイト役をやっていました。今回は六本目の"More anger"を演じてらっしゃいます。

 

ササヤカな夏休み/古本話とコミティアの予定

巷はお盆休み。特に出かける予定もないので、半分翻訳仕事、半分自分の原稿、といつも通りな土曜日です。

 

今日はあまり暑くなかったので、仕事をしていた喫茶店から夕方足を伸ばしてブックオフへ。今やってることとはまるで関係ない掘り出し物を三冊ほどゲットしてきました。すべて108円で締めて324円ナリ。

 

ここはちょくちょく行くブックオフで国道沿いにあるのですが、最近そこへ行くいい感じの別ルートを開拓しました。国道と付かず離れずながら緑が多い、川沿いの道です。

 

地区センターの小さな子供プールが賑わってたり、散歩している人もちらほらいたりで夏休み感満点。そこをアイスを食べながらのんびり歩いて帰り、トータル一時間ほどの夏休み気分を味わってきました。(…あんまりふだんと変わらないような?(笑))

 

写真が本日の掘り出し物。特に嬉しかったのは真ん中の『世界怪奇実話集』です。これは社会思想社さんという、今はなくなっている出版社の「現代教養文庫」というシリーズで、この文庫好きなんです♪

 

リアルタイムにもいくつか買っていたんですが、最近は古書で見つけるとちょこちょこ買っています。今回のは怪談系かと思いきや、「洋上の幽霊」という章になぜかバミューダ・トライアングルの話も入ってたり。時代感もあって、目次を見るだけでワクワクします。(笑)

 

今回のようなミステリアスというか超常現象系というか、そういう小話集(?)が「ワールド・グレーティスト・シリーズ」というシリーズになってるんですよね……なんて素敵なシリーズ名!(笑)以前同シリーズの『未解決事件19の謎』というのを買ったんですが、短い実話がいくつも入ってるので、寝る前とか合間とかにちらっと読むにはうってつけなんです。今回のは1つ1つが短そうなので、これまた重宝しそうです♪

 

『芥川龍之介の世界』はなんとなく手に取り、芥川龍之介は好きなので買ってきました。生涯が書かれた評伝のようです。

『孤独なスキーヤー』は、以前ここでいくつか作品をご紹介したハモンド・イネスの本です。これも冒険小説で、あらすじを見たら――「第二次大戦直後のロンドン、復員兵のブレアは、映画監督になった元上官と偶然再会」。アルプスのとある山荘にシナリオライターとして行って出入りする人物を見張ってほしいと頼まれ、しかもその山荘はナチ戦犯がらみ――なんだか面白そうです! アレコレの合間に少しずつ楽しもうと思います❤

 

*      *      *

 

さて、来週8/20は同人誌イベントに出展します。新刊は気軽な洋画レビュー集コピー誌の予定ですが、イアンシリーズの紙版を含め、オリジナル系の同人誌をメインに持参します。恒例のイアンシリーズ短編2種コピー誌無料配布も予定しております。今回の配置はわりと入口に近くてわかりやすい場所なので、おついでがありましたらぜひお立ち寄りください。

 

コミティア

配置ナンバー: う01a 

サークル名: SUSSANSAP(サッサンラップ)

 

現在、レビュー本の特集記事で『メッセージ』の原稿を書いております。原作者テッド・チャンの大ファンなので、主に映画化にあたって変更・工夫された箇所について掘り下げています。(入れたいものが多くてちょっと困ってます。間に合うといいんですが(^^;))

 

*      *      *

 

というわけで、このところイアンシリーズの次作の準備は中断していますが、これがひと段落したらまた戻ります。(待っててねイアン❤)

 

…夏休みに入ってから、『追憶のシャーロック・ホームズ』を中心にご購読が少し増えていて、嬉しく思っています。ありがとうございます。涼しいところで冷たいものでも飲みながら、のんびり楽しんでいただけたら幸いです。

家族とは/『キッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか』感想

アメリカのゲイのカップルが養子縁組をするまでのノンフィクション。コミカルなタイトルが表す通り、中の文章もかなりコミカル(でシニカル)。シリアスなネタも下ネタも、カジュアルにツルツル読める文章です。遅読な私が二日で読んでしまいました!(笑)

 

読んだきっかけはもちろんゲイのカップルについてのリサーチだったんですが、それ以上に「なぜ子供がほしいのか?」も興味がありました。自分自身にそういう願望がまったくないこともあって、ゲイのカップルが「わざわざ」子供をほしがるという心理が知りたかったんです。

ゲイのノンフィクション本のオファーがあり、売れる題材を考えていてコレだと思ったとも書かれているんですが、もちろんそれは冗談。本の企画を考える前から、もっと言えばここで出てくる「彼氏」とつきあい始める前から、この筆者はゲイとして子供を持つための画策(レズビアンの女性と組んで子供を持つ計画など)をあれこれしています。その理由はいろいろ書かれていますが、どこまでが本気なのか、冗談なのかわからない。もしかしたら、「なぜほしいのか」はほしい人にとってむしろ自然なことで、説明しようがないのかもしれないな、と思いました。自分も別のことで「なぜ?」と言われたら説明できないけど欠かせない、というものはありますもん。

 

本の中では、子供をほしがっているヘテロのカップルとの違いが浮き彫りになるところがあり、これもなるほどそういうものか、と思いました。ヘテロの夫婦が養子を求めるまでには、不妊治療など長く苦労を重ねているので、「これが最後の望み」という感じなんですね。それに引き替えゲイのカップルは「不妊」であることが前提……この辺も改めて考えたことがなかったことでした。

 

一方で、なぜ子供をほしがるのかまったく理解できないという女性もいたり、中絶についての白熱した議論をゲイの男性同士がしていたり……というところも出てきて、いろいろ視野が広がりました。特に後者については、自分が絶対に当事者とはならない人たちが議論しているのを、女性たちは距離をとって関わらないようにしていた、という描写があって妙に印象的でした。当事者でないところで議論が白熱する、というのはいろんなところである構図かもしれないなあ……なんて思いました。

 

このカップルが申し込んだ養子縁組はちょっと変わっていて、「オープン・アダプション」というもの。生みの母親が養子を希望するカップルのなかから子供を託すカップルを選び、面談などを重ねて双方同意したら生まれた子供を渡し、その後も定期的に子供に会ったり、成長の様子を報告してもらったりしていくものだそうで、子供も自分の生みの親を知ったうえで育ての親と一緒に暮らしていく、というシステムだそうです。従来方の養子縁組は、子供には養子であることや生みの親を知らせず、大人になってからそれを悩んだり、生みの親を探したり……という話を聞くような気がしますが(もっとも自分が知っているのは映画などに出てきたケースなんですが)、オープン・アダプションは「家族の定義そのもの」が拡大している感じがして、これまた興味深かったです。

 

子供を養子に出す側、というのも想像ができていなかったところで……若くして予定外に未婚の母になってしまって育てられないとか、そういう(自分の目には)「別の問題」だと映っていたことがダイレクトにつながっているのでした。これも読むまで意識できなかったことでした。今回の本に出てくる生みの母親はまたちょっと特殊なライフスタイル(ガター・パンクというそう)で、放浪するので連絡をとることさえひと苦労です。彼女はゲイのカップルを育ての親に選んだ理由を、嘘っぽくなかったからだと言います。この本を書いた「僕」と「彼氏」以外の養子縁組希望カップルはすべて中流の白人夫婦だったそうで、逆に言うとそういう人たちを「嘘っぽい」と感じてるんですね。ちょっとわかる気がする。スゴク愛想のない子なんですけど、その辺も興味深かったです。

 

この本を書いたダン・サヴェージはセックスお悩み相談コラムで売れているライターさんということなので、文章のトーンがコミカルなのはそのへんの「芸風」なのでしょう。かなりシリアスな問題がたくさん出てくるんですけど、おかげで読みやすくなっています。

 

この本の原著は1999年の本で、状況はその後かなり変わってきていると思います。アメリカでは同性婚も合法になりましたしね。このカップルと子供のその後は『誓います――結婚できない僕と彼氏が学んだ結婚の意味』という本で語られてるそうなので、そちらも読んでみたいです。

横浜古書店散歩とポケミスの「ホモセクシュアル探偵」ブランドステッター・シリーズ

(先日古書店散歩したときの記録にリンク等を加えたものです)

 

2017/06/06 15:43

馬車道のカフェでポメラで書いています。今日はぽかっと時間が空いたので、ちょっと前から気になっていた黄金町(こがねちょう)~伊勢佐木町(いせざきちょう)界隈の古書店散策に来ました。このあたりは以前は映画館がたくさんあって、古書店もついでによく回ってたんですが、ネットで調べたら知らなかった店もあったのでいつか行ってみようと思っていました。ちょうど曇って涼しくなり、歩き回るには最適です。(文末に地図も載せときますね)

 

さて、今回はほしい本がありました。それが最近読み出したポケミスのブランドステッター・シリーズ。残念ながら邦訳は絶版で古書を探すしかないのですが、デイヴ・ブランドステッターという保険調査員が主人公の「ホモセクシュアル探偵」シリーズです。知った経緯はまったく別の方向で、今はまっているレトロ狙い(60~70年代あたり)とイアンシリーズの遠回しな資料漁りで、同じポケミスの『冷戦交換ゲーム』というのを図書館で借りて読んだとき、巻末の既刊紹介に「話題のホモ探偵」とかいう(うろ覚えですが)紹介文を見つけたのです。『冷戦交換ゲーム』は今も刊行中ですが、図書館の本は初版でだいぶ古く、当時たぶん「ゲイ」という言い方は一般的でなかったからこういう表現なんだろうな……と思ったんですが、のちに作者がゲイという言葉が嫌いだったと判明。

 

で、読んでみたらとても好みで。主人公のデイヴはすでに四十代なかば。今で言うオープンなゲイですが、原書の刊行は1970年で、デイヴは第二次世界大戦に従軍していた世代です。私生活のあれこれ――長年暮らしていた恋人との死別、新しい恋人とのうまくいかない関係など――が調査の合間に描写され、かつ扱う事件にも同性愛者が絡むのですが、ことさらセクシーなシーンは強調されていない印象です(今のところ)。むしろヘテロ男性が主人公の探偵小説で描かれる女性絡みのシーンよりあっさりしてるくらい。デイヴは「大人」で落ち着いていて物言いがそっけなく、容姿はあまり描写されませんが、「エレガントな」瘦せ型だそう。かっこいいです。地の文はデイヴの観察眼の反映なのか「目に見えるもの」をすごく細かく描写していて、ジャンルとしては「ハードボイルド」なんだそうです。詳しくないので「これがそういうものなのか」と思いました。

 

この「主人公が同性愛者であることがごく自然に描かれている」ところが自分のやりたい方向と合っていて、すごく興味をそそられましたし、読みやすくもありました。(イアンシリーズはBLとブランドステッターの中間くらいでいけたら理想です)しかし「主人公がオープンなゲイで中年のハードボイルド探偵小説」。そういうものがすでに70年代に書かれていたんですね。自分にとってはちょっとした発見でした。でもその後、アマゾンでこのシリーズを検索したら、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に翻訳もののBL・MM小説が並んでいて、ああ、この系統が好きな人には定番だったのね……と遅ればせながら知ったしだいです。

 

まだ読了したのは2冊だけですが、シリーズは全12冊。最初に読んだのは邦訳では一冊目の『死はつぐないを求める』でした。保険調査員なので生命保険の支払い請求に応じて死因を調べに行きます。(これは毎回このパターンらしい)このときデイヴと一緒に暮らしている相手とは、互いに前の恋人と死別していて、その面影を相手に見ているところからギクシャクしてくるんですね。原題の『Death Claims』は保険会社の「死因調査部」の意味もあるそうで、内容に照らすと直訳の「死は求める/死が当然のものとして所有権を主張する」から、邦題のイメージ――「死んだ恋人」の存在感ゆえの苦悩――と、デイヴの仕事である死因調査の掛詞になっています。メインストーリーは仕事の事故・事件の調査のほうですが、やはりキャラの心情は裏のメインディッシュですよね。すごく繊細な感覚があっさりと描かれていて好みなんですが、そのわりにどうも過去の説明がはしょられすぎだなあ……という印象がありました。調べてみたら、じつはこの作品は原書ではシリーズ二冊目なのでした。で、それを読み終わりかけてた時に黄金町近辺の古書店(『サラエヴォの銃声』を見に行ったあとに見つけた川崎書店さん)でこの作品を含むシリーズ三冊を見つけ、次に一作目にあたる『闇に消える』を読みました。デイヴの過去がわかってより面白くなってきました。やはり順番通りに読むべきかもしれません。

 

そういうわけで、今日はこのシリーズ……できれば次に読みたい三作目の『トラブルメイカー』が見つかれば最高、という感じで来たんですが、なんと!今日見つかったのはこの『トラブルメイカー』のみでした! それも最初に行った紅葉堂長倉屋書店さんで見つけました。当初は存在も知らなくて行くリストに入っていなかったお店ですが、今朝「行って休みだったら泣くなー」と思って確認ついでに検索していて、近くにあったここをリストに加えたのでした。ただ、ポケミスが一つの棚丸ごと占領していたのは嬉しいんですが、配置がなぜか18禁エリアにかけられたカーテンの真ん前で、角度がついているので棚を見てると18禁エリアをカーテンの隙間からのぞくようなかっこうになるんですよ。実際に中が見えるし(^^;)。中におじさんがいてすごく気まずかったけど、がんばって棚の背表紙すべてに目を通した甲斐がありました。もう今日は呼ばれたとしか!(笑)ちらっと読んだところですが引き込まれてます♪

 

さて、これまで読んだ二冊の巻末解説によると、作者のジョゼフ・ハンセン(1923~2004)は妻帯者……というので、てっきりヘテロかと思っていました。でも英語版Wikiを見たら奥様はレズビアンだったそうで、「たまたま互いを愛したゲイの男と女」なんだそうです。(前述の通りご本人はゲイという言葉がきらいで、自分のことは「ホモセクシュアル」と言っていたそう)お子さんも授かっていらっしゃいますが、奥さんのほかに長い交際をした男性の恋人が二人いたとのこと。…なるほど、と思いました。作中で「ゲイの男性と結婚した女性」というのがごく自然に出てくるんです。それが別に偽装結婚ではなく、本気で愛してるんですね。だからこその葛藤も淡々と説得力がありました。ハンセンはハリウッドで最初のゲイ・プライドの計画にも協力したそうで、その方向でさまざまな活動をなさった方のようです。(ワシントンポストの訃報記事"Joseph Hansen; Created Gay Detective"参照)

 

そんなこんなで、久々に小説ではまれるものに出会ったので、良いモチベーションも得ました。もしイアンシリーズの商品ページにブランドステッター・シリーズが表示されてくれたらもう最高じゃないか、一緒に読んでいただけるくらいにがんばりたいなあ……なんて新たな目標に。(笑) とはいえ、邦訳のkihdle版は今のところないので、ちと見果てぬ夢です。でも好きなものにははびこってほしいので、kindle化希望ボタン押しときます!(紙の復刊よりはコストかからないはずだし!!)

 

 

一冊目の『闇に消える』にリンクしておきます。よかったら「kindle化リクエスト」に清き一票を。(笑)

 

…で、今日買った本は結局『トラブルメイカー』だけです。でも大満足。ぶっちゃけこのシリーズはアマゾンのマーケットプレイスでも手に入るんですが、たとえ1円でも送料入れると258円になっちゃうんですよね。この前見つけた三冊が100円だったもので(笑)、そのあたりで見つからないかなあ……と思ったのと、なんとなく「足で探したい」タイプの本なのです。すぐほしい、というのではなく、少しずつ見つけて読んでいきたいなあと。手に入れた本はかなり日焼けしてますが210円だったので、散歩全体が楽しかったことも考えたら電車賃入れても(笑)大満足でした。

 

*      *      *

 

もともと伊勢佐木町近辺は「レトロモダンで昭和感のある映画の街」として好きだったんですが、大きな映画館がなくなってからはあまり来なくなっていました。でも最近またジャック&ベティさんで時々映画も見るようになったし、これまでは神保町まで行かないと見られないと思っていた「古書店らしい古書店」が近場に複数あるとわかったので、ちょくちょく気晴らしに来たいなーと思います。休めるカフェもあるし、横浜駅周辺がごちゃごちゃしてるのに比べると、ずっと落ち着けて好きな街です。新しく工事をしている店をたくさん見かけたので、またどんどん変わっていくのかもしれないですね。レトロなところは残してほしいものです。

 

お土産に買ってきた花見煎餅。横浜名物の一つです。

  

 

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以下のページを参考にさせていただきました。

 

伊勢佐木町には古書店が多いの?[はまれぽ.com]

 

 

この地図はもうなくなってるお店も入ってるかもしれません。

(私が見つけられなかっただけかもしれませんが……)

 

 

Google Map 「伊勢佐木町 古書店」検索結果

 一部「横浜関内周辺古書店」にないお店も出ています。

『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』と『サラエヴォの銃声』

イアンものの肥やしに、相変わらずヨーロッパ近代史(現代史?)を漁っております。そんななかの拾いもの。本と映画のご紹介です。

 

『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』

 

まずは『第一次世界世界大戦はなぜ始まったのか』。今の興味とドンピシャのタイトルなので購入しました。これ、買ったあとにアマゾンのレビューを見たら低評価が多めでびっくりしたんですけど、内容が悪いというより、「素材を素材のまんま印刷しちゃった」感じなんですね。なんというか、食べやすい大きさに切るとか、食欲が湧くように盛りつけるとかがされてない。レビューでも編集がやり玉に挙げられてますが、その通りだと思いました。

 

原稿執筆から体裁のデザイン・広告までやらねばならない一人出版社状態の身としては、文章を読みやすく整えるくらいは著者の仕事ではとも思えるのですが、著者がホームページに掲載していた文章をまとめたものらしい、とレビューで指摘されてるので……ここからは想像ですが、もしも「このコンテンツ、本にしませんか?」「いいですよ」程度のやりとりで突貫工事でできた本だとしたら――というのは、奥付を見ると第一次世界大戦100周年にばっちり合わせたタイミングで出ているんですよね――そのマーケティング的な都合で、結果双方がタッチしない、責任と責任の狭間の真空ゾーンができてしまったのだとしたら(こういうことは組織の仕事ではよくあるんですけど)、あまりにも素材が勿体ないし、著者に責任を問うのも酷ですよね。とにかくプレゼンテーション――盛り付け方って大事だな、と思いました。本もお料理と同じですね。

 

なんかへんな切り口から入ってしまいましたが、内容は今まで知らなかったことがいろいろ書いてあるし、レビューの一つで提案されてる通り、しっかり編集作業をしたら魅力的な本になったのではと思います。それと、面白い箇所がじつは話が飛んでるところなんです。いきなり帝国主義時代の日本との比較が挟まってたりするんですけど、そのへんのアナロジーこそがオリジナリティを感じるところだし、「へええ!」と「掴まれる」ところなので。ただ、通史として読もうとしているといきなり話題が変わるので面喰いますね。あと、固有名詞の説明が少ない。ここはやはり編集しだいでしょうね。

 

 

自分はレビューを読んである程度覚悟したのもあり、多少とっつきづらいのは仕方ない、と思って、電子辞書(ブリタニカ百科事典が入ってます!)と地図を傍らに置いて、一番興味のわくところから読み始めました。そうしたらわりと面白く読めてます。ただし、微妙に文脈がわかりにくいところも自分で脳内補完しながらです。

 

文章自体が読みにくいと感じるのは、文と文をつなぐ接続詞などが乏しくて文脈がとりにくいところがあるためです。これ、英文を直訳した感触と似ていて。…翻訳の参考にしている『英日実務翻訳の方法』(これはまたおすすめの本です!)に、英語を指して「文間が広い」という表現があるのですが、それとまさに同じことです。「………。というのは、………だからである」みたいに流れを示す言葉がほしいところで、それがない。「………。」の部分だけが連続している感じなんです。それで、文脈は自分で考えなければならない。ちなみに上記の翻訳教本では、日本語は「文間」が英語より狭い言語なので、その接続詞なり、文脈を示す表現なりを補完するのが和訳の重要な仕事として書かれています。なるほどと思います。

 

話が飛んじゃいました。(^^;)で、興味はもう開戦直前の「サラエボ事件」なので、いきなりそこから読みました。セルビア人の青年が、オーストリア皇太子を暗殺した事件です。一次大戦のきっかけとしてよく言及される事件ですが、この本で初めて詳細、特に犯人とそれに至る背景について知りました。教科書的な文章では「セルビア人青年」としか書かれないこの人物、当時まだ19歳で、名前はガブリロ・プリンチップといいます。陰で糸を引いたとされるのが「黒い手」という秘密結社。他に失敗した実行犯もいて、見届け役以外は未成年。捕まったときの極刑を避けるためだったらしいのですが、プリンチップは獄中で病死(あるいは拷問死)したそうです。で、ここから『サラエヴォの銃声』に興味がつながりました。

 

本自体はまだ読了していないのですが、サラエボ事件のところを読んだあと、結局は最初から――1848年のパリ二月革命から書き起こされてるんですが――読んでいます。やはり流れを知るには必要で、むしろここから始まるのは丁寧なんじゃないでしょうか。同じ著者の他の本は評価も高いですし、つくづく本としての仕上げがイマイチなのが惜しまれます。

著者は一時大戦をテーマにしたホームページを持っておられるので、リンクを貼っておきます。軍事史がご専門だそうです。

 

別宮暖朗さんのホームページ『第一次大戦』内・「このサイトの構成」
フロントページからはリンク切れが多いので、まずはこちらを。まだチラ見ですが、ほんとにすごい情報量です。

 

第一次大戦

フロントページはこちら。ひょっとして、リンク切れになってるページは本のコンテンツとして提供されたため非公開になってるのでしょうかねぇ……?

 

 

『サラエヴォの銃声』

こちらはテレビで知って、サラエボ事件の実行犯プリンチップ――映画での表記は「プリンツィプ」――が大きなモチーフとなっている映画ということで興味がわいて見に行きました。とはいえ、大戦時の時代ものではなく現代ものです。

 

舞台はサラエヴォ(ここから映画に表記を合わせますね)にある、第一次世界大戦100周年の記念式典が行われるホテル。ここの屋上で、テレビ用のインタビューの収録が行われています。歴史学者等が出てきてサラエヴォの歴史を総括してくれますが、この学者さんたちは俳優さんではなく本人として出ていたんじゃないかと思います。そして

「ガブリロ・プリンツィプはテロリストか、それとも英雄か?」

という命題が提起されます。そこへインタビューを受けに現れるのが、当のプリンツィプの子孫で同じ名前を持つ男性。インタビュアーの女性は民族的出自等で彼とは対立する立場にあり、激しい口論が展開されます。

 

一方、同じホテルの中では別のドラマが同時進行します。このホテルは記念式典の要人を迎える場所ですが、じつは経営は傾いていて、従業員は二ヶ月も給料を受け取っていません。そして式典当日にぶち当ててのストライキが計画されます。自分も給料はもらっていないと説得したり圧力をかけたりする支配人、美しい受付主任嬢、彼女に惚れている厨房の男性、彼女の母であるクリーニングのおばさん、そして地下の怪しげなクラブを仕切るやくざ者、ホテルに宿泊するフランスのセレブ――さまざまな人物のドラマがつながっていきます。

 

でも、自分が一番惹かれたのは、先ほど書いた「ガブリロ・プリンツィプ」とインタビュアーの女性のスリリングな関係の変化でした。口論の末、ずっとあとになって、ガブリロがインタビュアーの女性に「プリンツィプはテロリストか、それとも英雄か」の質問を改めてすると、彼女は二者択一から離れてこんなことを言います。彼は理想に燃えた青年だった、と。

 

利害や信条で自分と対立する人物に対して、みんながこういう視点を持てたらどんなにいいでしょう。…しかし、これで二人が歩み寄るかと思いきや、ことはそう簡単には運びません。そしてラストは……もちろんここには書けませんが、子孫である男性が「ガブリロ・プリンツィプ」という名前を持つこと(この子孫のキャラクターは架空の人物とのこと)で重層的な意味が生じ、寓話のような、現代ものでありながら古典劇のような――ある種の味わいがありました。映画として「そうくるか」という虚を突かれた展開でもありました。ほんとに見事。そして現実を映している。こんな作品が作れたらなあ……と思います。

 

前述の『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』では「黒い手」とされていた組織が、「黒手組」として冒頭の学者らのインタビューで言及されます。そしてサラエヴォの支配勢力が変わるごとに皇太子暗殺現場が意味を変え、記念碑の語る内容も二転三転してきたことが語られます。皮肉だけれど、この「状態」こそがヨーロッパだ、とも感じます。字幕ではホテルの名前は出てきた記憶がありませんが、パンフの写真を見ると名前は「ホテル・ヨーロッパ」。やはり寓話的です。

 

題材から社会派ともいえますが、とにかく作劇がとても見事な映画でした。正直、冒頭の史実の総括では知らない固有名詞がたくさん出てきて、この地域の歴史に詳しくない自分にはついていけない部分も多かったです。それでも、それが気にならなかったのも事実です。理由は、「出てくる人物同士の関係」がわかるようにシーンが作られているからです。説明するのではなく、見せるのです。優れたフィクションはここがきっちりしています。自分が創作する場合でも押さえたいポイントだと思っています。もちろんこういった題材の映画は、史実に明るければより深く、別の切り口でも味わえるでしょう。でも映画は(映画に限らず創作作品は)鑑賞者の知識を試すトリビアテストではありません。鑑賞するうえでは、史実の勉強ではなく人物の力学こそが主題で、優れた作品ではそこにより大きな構造が二重写しになり、その広がりを「感じ取らせてくれる」のです。そこが醍醐味だと思います。

 

ほんとにおすすめの一本でした。機会があったらぜひ。

 

『サラエヴォの銃声』公式サイト

 

*   *   *   *   *

 

この映画を知ったきっかけは、毎朝見ている『キャッチ!世界のトップニュース』の「映画で見つめる世界のいま」というコーナーでした。国際政治学者の藤原帰一さんが月に一回、二本の映画を紹介しています。社会派系が多いですが、『ラ・ラ・ランド』(未見ですが)も現代のアメリカに流れる「現実を離れたい」気分の反映、という切り口で紹介されてましたし、以前にはエドワード・スノーデンくん(ええと、ファンなのです❤)の映画も紹介されたりで、自分にはお花畑のことも多いです。(笑)

 

ここからは余談ですが、スノーデンくんの映画についてツイートしたときに、上記の藤原さんのアカウントからフォローをいただきまして、Twitterをなさってることを知りました。以来フォローさせていただいてます。先日は『ムーンライト』の感想をつぶやいたところ、これも以前紹介されていたせいかリツイートして下さって、翌日RTや「いいね」がいくつもついていたのでびっくりしました。(時々伝播力のある方に発言を拾っていただくと、こんなことになるのがTwitterの面白いところです。逆に言うと独り言のつもりで無責任なことは書けない場でもありますね)接点がなかった方々に書いたものが届いて、反応を頂けたのは素直に嬉しかったです。

 

うちでとってる新聞にも月一回くらい政治ネタのコラムを書いてらっしゃって、以前から拝読していました。国際政治学者の肩書は大好きなE. H. カーせんせとも通じるのでちょっと憧れます♪(笑)Twitterはあまり覗けていないのでかなり見逃してると思いますが、映画の話以外に国際政治関連の海外記事紹介もなさってるので、そのへんにご興味がある方は参考になるかもしれません。

 

藤原帰一さんTwitterアカウント

 

 

…そういえば、イアン周辺のリサーチで海外の歴史学者さんのプロフィールをWikiを頼りに読んでるのですが、現代史を扱う歴史学者さんは政治学を兼ねるケースがわりと多いような……(カーせんせが両方の肩書で紹介されるので、脳内でそんなイメージになりがちなのかもですが)……でもこれは必然かも。現代の世界史を考えるなら政治状況はその柱ですし。イアンは二十世紀前半のヨーロッパが専門という設定なので、リアルタイムのニュースをどういうアナロジーで見るかなあとか、ライターとしてのどういう仕事につながってるかなあ、というあたりを想像しやすくなってきました。BL系ではありますが、いただいたご感想を拝見するといろんな切り口で読んでいただいてるので、リアルの取り込み方も工夫したいと思います。とはいえ、肝心なのはメインストーリーですし、トンデモネタと絡めるシリーズですので、本末転倒にならないようにがんばらねばです。

 

…ということで、資料話としてオチをつけて終わります☆

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無料で古本アタリ日❤(ハモンド・イネス『銀塊の海』ほか)

先日、自宅と図書館のリサイクルコーナーで古本の掘り出し物をゲットしました! 自宅なのに「掘り出し物」なのは、文字通り『掘り出した」から。まずはそのいきさつから……最初は災難でこざいました。(^^;)

 

開かずの本棚から

 

じつはとある漫画を読み返したくなって、木製のスライド本棚の最前列(3列式の前列)を動かしたところ、棚がズレてしまったんです。無理に動かすとザリザリ通り道が削れて……結局完全に動かなくなってしまいました(涙)。で、一念発起して大掃除・復旧させたところ、長いこと「開かずの間」だったエリアからいろいろ発掘したわけです。今古書で見かけたらうっかり買いそうな本ばかりだったので、数千円分得したようなものです! 全部自分好みだし!(自分で買ったんだから当たり前!)

 

写真は発掘品からいくつか。てっきり処分してしまったかと思っていたものも見つかりました~☆

 

なぜ「開かずの間」になっていたかと言うと……部屋が狭いので本棚の前にもキャスターつきの引出なんか置いておりまして、さらにその上にいろいろ荷物が重なってるんですね。なので、棚の下半分のもの、特にスライド式の最前列のものは、その前の家具を動かさないと見ることもできない状態が10年以上続いてました。それを今回動かしたわけでした。いやしかし、見られないんじゃ持ってないのと変わらないですね。つくづく。うちにあっても出せなくて図書館で借りる資料が時々あるので、なんとかしないと!(^^;)

 

↑反省はともかく、発掘作業のきっかけになったのがこの江戸むらさき特急。(お、kindle版出てるんですね!)時代劇ネタの(と言っていいのか?(笑))ナンセンスギャグ4コマ漫画です。先日ほりのぶゆきさんの新刊情報をツイッターで拾って、懐かしくなっちゃいまして……。これ自体は奥の列の上段にあったので見えていたんですが、取り出すために最前列を動かして大惨事となったのでした。でも結果的によかったです。(笑)


見つかって一番うれしかったのがこれ、イギリスの冒険小説家ハモンド・イネス『銀塊の海』。日本での刊行は70年代あたりなので、表紙の時代感もたまりません。大昔に父の棚から奪った記憶があった本で、思い出して探したものの見つからず、処分してしまったものと諦めていました……こんなところにあったとわ。よかった、買いなおす前に見つかって……(真面目に買おうと思ってました!(笑))。

 

ハモンド・イネスについては、小説の参考にと読んだ『北海の星』の感想を以前アップしています。あ、その時にも『銀塊の海』にちらっと触れてますね(笑)。(「意外やテーマは自分探し?/70年代北海油田冒険小説『北海の星』」)…すでに故人ですが綿密なリサーチをする作家さんで、六カ月リサーチ、六カ月執筆、というペースだったそうです。今回見つけた『銀塊の海』はさわりを読んだところ二次大戦ものです。たしかイネス自身従軍経験があるんですよね。リアルな描写が期待できそう。

 

…じつはイネスの別の作品『海底のUボート基地』(さらっとすごいタイトル!(笑))というのをその直後に入手しまして、そちらを先に読んでおります。なので銀塊のほうはあとになりますが、読むのが楽しみです♪ Uボートのほうは他のイネスの作品とちょっと感触が違うようです。原書が刊行されたのが第二次世界大戦中とのことで、リアルタイムの心理描写なども興味深いです。こちらはまた、機会があったら改めて。

↑こちらは通販でゲットした『海底のUボート基地』。嬉しくてC-3POと一緒に記念撮影しました。うちで発掘したのよりよっぽど美本でした~。(笑)表紙イラストは『銀塊』と同じイラストレーターさんみたいですね。いいなあ、こういうイラスト❤

 

以下は懐かしいのをいくつか。


"Dale Cooper: My life, My Tapes"海外ドラマ『ツインピークス』の関連書で、『クーパーは語る』の邦題で文庫が出たものの原著。カイル・マクラクランが演じた変わり者のFBI捜査官、デイル・クーパーが自分の過去を語る……というもののようです。(読めてないのでレビューを参照させていただきました(^^;)。ダイアンて過去の女性の名前なのか……テープレコーダーに名前つけてるんだと思ってた☆(笑))

 

当時ペーパーバックなんて読みこなせるはずもなかった自分ですが、カイル・マクラクランには御多分に漏れずハマりましたので、まあ勢いで買ったんでしょうねえ……。現在マクラクランさんと、脚本・製作だったマーク・フロストさんをツイッターでフォローしているのですが、五月に続編が放映されるそうで楽しみです。この機会に懐かしさでこの本にも再挑戦できるかも。(笑)


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正統派(?)古本屋さんと「昔の新書」

正統派(?)古本屋さん

 

書きかけのまま、なかなかアップできなかった記事です。(^^;)もう先月のことになってしまいましたが、自宅から歩いて30分くらいの、しばらく(ウン十年くらい?)行っていなかった辺りに散歩に行きました。あまり人けがないところですが、昔おいしくて安価なパンとケーキのお店があったんです。で、それを目的に(笑)。でもショーケースは空だし、店員さんもなく、なんだかごちゃっとしていたので……「閉業準備?」と落胆。…あとで「午前で商品がなくなる人気で、午後に行ったためスッカラカンだった」ことが判明しました。(今度リベンジします!)

 

で、その二、三軒隣に、記憶になかった小さい古本屋さんがありました。なんとなくで入ったのですが、これが掘り出し物のしっかりした「古書店」! 今よくある「リサイクル書」ではありません。「古書」です。神保町の専門店にあるような意味での「古書」。ものすごく敷地が狭いので本は少なかったですが、専門書のジャンルの分け方、その内容など少数ながら本格的で、「古書店の空気」を一瞬吸えた気が。こんなに近くにこういう場があったとは…!と嬉しくなりました。ブックオフ系ならあるんですけど、やはり雰囲気違いますもんね……。で、隅から隅まで見て、ちょうどそのとき探していた古い新書があったので購入。200円ナリ。(写真がそれです。良書なのでのちほどご紹介します♪)レシートが出ませんが、と言われたのでそのまま本だけ頂いて来ました。

 

本がひんぱんに入れ替わるお店ではなそさうですが、一週間ほどしてまた行きました。今度は買うものが見つかりませんでしたが、半年に一回くらい行きたいかな。(笑) 検索してみたら、お店のHPとか情報発信はいっさいなく、紹介しているのは、各地の古書店を発掘して歩いているブロガーさんの記事だけでした。(その方も行った翌週あたりにまたなんとなく行っている。すごく気持ちわかる! 行きたくなります!)

 

そちらでも書かれてましたが、ドアを開けると付いている鈴が「チリリン♪」と鳴って、奥から品のいいおばさまが「いらっしゃいませ」と出てきてくれました。正直カウンターとの距離が近すぎて、自分は待たせているようで落ち着かなくもあったのですが、慣れてらっしゃるのか「気配の消し方」がプロでした(笑) 。シャッ、シャッと音がしていたので、本に紙やすりでもかけていたのでしょうか。

 

 

(…ちょっと話が逸れますが、こういう本のクリーニング、出版社勤務時代に返本の再生で大量にやりました。小口や天の汚れは紙やすりで、カバーはPP貼りなら水雑巾。あと消しゴムも使いました。今も古本買ったときに汚れが気になるとやってます。最近は水雑巾でなく、100均で売ってるアルカリ電解水クリーナーとティッシュです。(除菌・消臭効果も謳われてるのでただの水よりいいかなと)かなりキレイになるので、やってみると快感ですよ♪)

近辺のさびれた感じのお店も昭和の香りが漂っていて、昔行った時の懐かしさもあったので、ちょっといいタイムトラベルになりました。

 

 

「昔の新書」

 

で、購入したのが写真の『ヨーロッパとは何か』。初版は1967年という古い本です。(写真は長距離歩いて帰宅後のおやつと共に。いつもはこんなに食べないです(笑))じつはそのとき図書館で借りて読んでいて、すごくいいので買おうと思っていたところでした。(イアンシリーズの「肥し」です☆)買ったその足で図書館の本を返しに行きました。(笑) 私たちがイメージする「ヨーロッパ」(西ヨーロッパ)が、おおまかに言って大昔のフランク王国の領域であることを、その地形、民族、宗教、言語やらの特色を交えて解説しているもので、これを読んでから「ヨーロッパ」をつかみやすくなりました。(1つのまとまりというイメージと同時に、いろんな民族がいて常にすったもんだしているというイメージ)先日から読んでいた現代史の本でも、第一次世界大戦前にドイツの皇帝が支配を目指していたという「中欧(ミッテル・オイローパ)」という地域概念が出てきたんですが、地図で見るとまんま旧フランク王国の版図で、「なるほどなあ、それを『取り戻す』感覚だったわけか……」とキモチヨク理解できました。こういうのって、頭から「こうなんだよ」と聞くよりも、自分で「そうなのか」と推理・理解すると頭に残りやすいし楽しいもんですね。知識って単独の情報のことではなく情報と情報のつながりのこと、ともよく言われますが、それを作る過程が楽しいのかも。後述しますが、文章に「人間の脳みそを通った感じ」を感じるか否かもそこかもしれません。

 

最初のほうで、ヨーロッパを「ギリシア・ローマの古典文化の伝統、キリスト教、ゲルマン民族精神」が絡み合っているもの、と書かれています。ぼんやりとイメージしていたものが言語化されて、なるほど納得。ヨーロッパでは実際そう教えられている、とのことでした。で、古典時代の衰退から中世がどうなっていくか、というあたりでヨーロッパの原型を解説してくれるのですが……個人的には中世ヨーロッパにほとんど興味がなくて(^^;)、最初はちょっと読むのがしんどかったです。ただ、クリストフアー・リーの遠い祖先が「シャルルマーニュ」(=フランク王国のカール大帝のフランス語読み)だとかで、生前その名前を冠したヘビメタアルバム(というか、曲のテーマにもなっている)を出して、王冠を被ったジャケット写真を使っていたり、映画の独立プロダクションを作ったときも名前が「シャルルマーニュ」だったりした……というなけなしのイメージからなんとか興味を掻き立てることができました(笑)。

 

この読後の満足感は、新書では久しぶりでした。ちょっと思いだしたのが、以前の記事でご紹介した『読書の技法』(佐藤優著)で触れられていた、「古い新書の書かれ方」――巻末におすすめ本の紹介などがあって、「読者がこの本で完結せず先に進めるものまで入っている」――でした。私、新書のイメージってまさにこれで……なにか興味が出た分野があるときに、その入り口として一般人が入りやすいように、専門家が書いてくれている安価で薄い本。パンピーの「知りたい欲求」の良心的な受け皿……いまだにこのイメージのままです。なので、それに合うのは古めの岩波新書か中公新書くらいかもしれません。逆にイマドキの、新書に限りませんが、サクッと読了できて即ブックオフに売られそうな(失礼(^^;))本は別物に思えます。なにか「人間の脳みそを通して書かれた感覚」が薄くて。もちろんすべてがそうではないんですけど、昔の本にはそれがあって当たり前だった感じがするんです。最近60-70年代の古書をいとおしく思うのですが、この感覚も魅力の一部かもしれません。

 

今回の『ヨーロッパとは何か』には、文献紹介はありません。が、別の意味で一般人向けの配慮がなされていました。章の終わりに、その章で説明したことを改めて言い換えて理解を定着させてくれたり、あと大事なのが関連する地図をつけてくれてること。私、地理がしっかり頭に入ってないので、地名だけ聞いても「どこ?」ということが多いんです。だからある程度細かい地名が重要な本では地図帳必須です。(^^;)ましてや特定のテーマで解説されるときは、それをビジュアルで見せる地図が本にあるとないとでは大違い。おかげでそのあと「ヨーロッパ」に関するニュースや本に入り込みやすくなりましたし、それが「入りぐち本」としての満足感にもつながっていました。

 

同じテーマの本はいろいろありますが、この本の冒頭には日本人から見て「追いつけ追い越せ」の対象だったヨーロッパ、そして日本側の西欧文化の導入方法への反省、という視点での考察がありました。今に通じるところも多くて独特の価値を感じますし、やはり日本人として入りやすいところでもありました。

 

…新書や文庫の巻末には、同じシリーズの既刊のリストがありますよね。じつはあれを見るのがすごく好きで(笑)。カバーの見返しにも近いジャンルの本が宣伝されてたりして……今回は大好きなE・H・カーの『歴史とは何か』もありましたし、現在絶版で当時ホットだったらしいテーマの本も並んでいて、その時代感も楽しめました。古いテレビ番組の録画に入ってるCMが妙にいとおしい、みたいな感覚でしょうか(笑)。隅から隅まで楽しめた一冊でした。(あ、ちなみに著者は故人ですが、『ヨーロッパとは何か』は現在も刊行されています! これも納得であります☆)

 

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【お礼とご紹介】レビュー『History: 低体温男子イアン・ワージングのハロウィーン』(日本ストア)

2/4に、イアンシリーズで初めてのアマゾンでのレビューを賜りました。主人公の歴史ライターが訪ねる巨石遺跡の切り口から、シリーズにご興味をお持ちくださった方のレビューです。前回から繰り返すようですが、レビューを頂くこと自体が少ない中、シリーズ全体をご紹介くださっている貴重なレビューなので、大変恐縮ですが全文を転載させて頂こうと思います。

 

History: 低体温男子イアン・ワージングのハロウィーン [イアン・ワージングシリーズ 2]

 

 

☆☆☆☆☆ ときほぐされる不思議現象が知的好奇心くすぐり、繊細な心の動きが丁寧に描かれるシリーズの掌編

投稿者 Amazon カスタマー 投稿日 2017/2/4

  

BLにかぎらず、あまり恋愛ものを読まないのですが、(いま「それでも乏しい経験の中では○○○や△△△が好きです」と例を出そうとしてとっさに出てきませんでした……)短い中に、マジメな学問の徒である主人公の静かな情熱が繊細に描かれていて、何度も読み返すお気に入りの一作になりました。ふとしたきっかけで出会い、距離をはかりながら近づくふたりの様子と、共有できない苦悩と喪失、些細な記憶の煌めきと重さ……。

 

わたしが「イアン・ワージングシリーズ」を読んだきっかけは、むしろ主人公イアンの仕事にまつわる「ストーン・ヘンジ」「レイライン」などに興味があったからでした。妖怪や怪談は大好きですし、一時期いわゆる「トンデモ本」についての本を読み耽ったことがあります。

と、いっても、イアンはもちろんそんなものを本気にしているわけでは全然ないのです。

イアンは、歴史学の徒だが、わけあって大学の研究室を追われ、勤めていた会社も辞めてライターの仕事でしのいでいる。厳密さを尊び専門外の物事には疎く、特に怪奇趣味や超常現象には興味もないし軽蔑しているのに、しばしば入ってくる仕事はなにかとオカルトがらみ。取材で訪れたイングランド北部で知り合った地元のチャーミングな、でもレイラインやストーン・サークル研究に熱心という点で決定的に相いれない青年の家に泊まることになったり、(ネガティヴ・ケイパビリティ: 絶食系男子イアン・ワージングのレイライン紀行 [イアン・ワージングシリーズ 1])「真理の探求者」のゴーストライターをつとめることになったり(ギャザリング・ストーム: さむがり男子イアン・ワージングのゴースト修行 [イアン・ワージングシリーズ 3])……。次作では「北海に沈んだUFO」(!)の取材だそうで、楽しみです。

この短いお話が描くのはそこで語られていないイアンの過去であり、「絶食系男子」のはじまりのはじまりとも言えるハロウィーンの夜。そしてそれから十年近くがたったハロウィーンの夜。彼は過去の亡霊に再会して……。長めの作品の前日譚的要素もあるので、それらを読む前に読んでもわかりやすいかもしれません。

日本でもほんの最近、英語教室の子供たちなどばかりではなく大人にまでポピュラーになりだしたばかりのハロウィーンパーティーは、英国でも伝統ある行事、というわけでもないようです。

「現在のハロウィーンは、アメリカで発達した祭の逆輸入である。だが本来この行事は、ドルイド教の新年の始まりの儀式に由来する。……」(作中のイア ンが書いた雑誌記事より)

イアンはあの有名な映画のジャック・スパロウも知らないし、派手なハロウィーンパーティーにはなじめません。しかしそこで素敵なアメリカ人の男性に出会い……。墓石の仮装をしたおちびちゃんもとっても可愛いですよ!

 

 

*      *      *

 

何度も読み返していただいているとのお言葉、涙が出るほど嬉しいです。筆者もじつは特化したBLはあまり読まないほうなので、いろいろな切り口で楽しんで頂けるよう、及ばずながら意識して書いております。続編は少し時間がかかっておりますが、前作で心残りだった部分も改善できればと思い奮起しております。頂いたレビューはとても励みになりました。ありがとうございます!

 

イアン・ワージングシリーズご紹介ページ

 

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【お礼とご紹介】レビュー"Space Detective Holmes"シリーズ(USストア)

1月末のことですが、宇宙探偵ホォムズ英語版シリーズ2冊に、Amazon USストアにて五つ星レビューを賜りました。もともとレビューを頂くことは少ないのですが、海外ストアでは輪をかけてめったにないことなので(^^;)、恐縮ですが拙訳を付してご紹介させて頂きます。(そのほか、2/4にも日本ストアでレビューを賜りました。記事を改めてお礼とご紹介をさせて頂きます)

 

Space Detective Holmes: Squid & Watson 

 

☆☆☆☆☆ Fun and Entertaining (楽しくて愉快)

By Amazon Customer on January 27, 2017

It's a short read, but a very entertaining one. Watson had me squealing in his cuteness throughout the whole comic.

(短いけれどとても愉快な作品。ワトスンがキュートで、読んでいる間中キャーキャー言っていました)

 

 

 

 Space Detective Holmes 2: Ice Cream and Watson

 

 

☆☆☆☆☆ Cute and funny! (キュートでおかしい!)

By Amazon Customer on January 30, 2017

Funny and adorable. A lot of play on words type of humour that you can appreciate. Another thing to appreciate, the very simplistic style of art.

(おかしくて可愛い。言葉遊びがたくさん出てきて、そのユーモアは私たちにも楽しめます。もう一つ、とても単純化された絵柄も楽しめる所です)

 

*      *      *

 

単純化した絵柄は、じつはアメリカの古いアニメーションに影響を受けています。(『宇宙家族ジェットソン』の絵柄が理想の一つだったのです)そこを楽しんでいただけてとても嬉しいです。ありがとうございます!

In fact, the simplistic art style of these comics was influenced by an old American cartoon. (The art of "Jetsons" was one of my ideal styles.) I'm so glad that you enjoyed the style. Thank you so much! 

 

日本語マンガ(宇宙探偵ホォムズシリーズ、チョロQワトスン)

 

English comics: Space Detective Holmes series

 

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最近読んだ本から五冊(+三ツ矢雄二さんのお話少し)

ここのところきちんとした読書に集中するのが難しい状態が続いて参っていたのですが、ネット接続の時間を意識して制限するようになったせいか、だいぶ本が読めるようになってきました。そのなかからいくつか。

 

大事なことに集中する

ネット接続の時間を減らすのに背中を押してもらった本。自分の場合、成果を出したいとかいう以前にもう、ほんとに物が考えられないというか、まともに本も読めない状態になってしまい、ほとんどノイローゼに近い状態になってた(^^;)ので、以前個人ブログのほうでちらっと書きました『ネット・バカ』と同じ文脈で大変助かりました。(あ、今どき「ノイローゼ」って言葉はあんまり聞かないですね(笑)) 奇しくも『ネット・バカ』の原題はThe Shallows (シャロー=浅い/浅薄な)、だったんですが、この本では集中・没入するタイプの仕事「ディープ・ワーク」マルチタスクなど散漫な状態でする仕事「シャロー・ワーク」として対照させています。

 向き不向きはあると思いますが、自分の場合ディープ・ワークから遠ざかってシャロー・ワークばかりが続いていると、調子が悪くなるようです。シャローって「呼吸が浅い」という意味でも使う言葉で、まさにそんな感じで苦しくなるような。でも、最近いろんなところで目にする「ネットの弊害」を見てると、けっこうよくあることなのかも……と思います。以前やはり個人ブログのほうで、テッド・チャン氏の「ネットの影響でアテンション・スパン(注意力を維持できる時間)が短くなってる」という話をご紹介したんですけど、そういう症状は多かれ少なかれ、ネットを使う人のほとんどに起こっているんだと思います。それを不快に思わず使いこなせるかどうか、というのが分かれ道ですね。(自分は順応できてない組です(^^;)) この本の著者は学者さんなので、ライフスタイルとしてすっかり真似することは不可能なんですが、とりあえず割り切るべきところを見極めるのに役立つ本でした。(ツイッターに関しては、確かに気は散るんですけど、個人的には逆に気を紛らわせたいときとか、情報を得るとかご縁ができるとか、かなり恩恵も受けています。なので、今のところは時間制限はしつつ使いつづけたいなーと思っています。バランスのとり方模索中☆)

 

 

読書の技法

 

自分が熟知していない分野の本は速読できない、というご託宣と、「熟読」「速読」「超速読」のやり方がとっても参考になりました。しっかり読もうとすると線を引いて汚してしまうほうなのですけど、それでいいのだ、とお墨付きを頂いた感じで気が楽に。抜き書きも似たようなことを我流でしてたんですが、大きく学んだのは「超速読は熟読しなくていい本を選別するため」、という割り切った考え方。なるほど! これもなんか「買った以上全部を読了しなければ」というストレスから解放されていっきに楽になりました。佐藤優さんは池上彰さんとの蜜月ペアで「ファン向け」の御用達道具開陳本とか大人気ですね。自分はそこまでのファンではないので、蜜月対談本はたぶん過去に1冊しか買ったことがないですが、たしか中にあった「情報はできる限り母国語で取れ」とか、今もちょくちょく肝に銘じてますし、重宝な情報源として紹介されてたCNNやウォールストリート・ジャーナルの日本語版サイトは現在よく閲覧させていただいてます♪ 本の読み方の本では、他でズバリ『本を読む本』という古典的なのも以前読んだのですが、そちらも良書でした。

 

 

トロイの癒し

北アイルランド出身の詩人シェイマス・ヒーニー(1939年4月13日 - 2013年8月30日)の戯曲。ソフォクレスの作品を下敷きにしたものだそうで、毒蛇に噛まれて歩けなくなり、オデュッセウスに島に置き去りにされた男ピロクテテスの物語。リアルタイムのアイルランドの情勢などをオーバーラップさせているそうで、そのへんは注を読むとよくわかるようになっています。が、もっと一般化して恨みを乗り越えるのは自分自身の力によるとか、特に後半に出てくる警句めいたセリフがいろいろな角度で深読みできる作品でした。短いのでサクッと読めますが、時間をかけて(詩人さんの言葉ですからできれば原語で)味わえれば理想なのかも。もちろん戯曲ですから上演されたものを見られればもっと理想ですが。

 

ヒーニーさんを知ったきっかけは、たしかルイーズ・ブレーリーさん(SHERLOCKのモリー役)が引用BOTのツイートをRTしていたことで、それからなんとなくそのBOTをフォローしています。今回初めてプロフィールを調べて、ノーベル賞受賞者だったことを知りました。ぜんぜん知らなかったです。(^^;)

 

 

もういちど読む山川世界現代史

こちらは現在進行形。佐藤優さんの本で「本には読む順番がある」というのを読んで、歴史関係の本を読む際に痛いほど感じる(笑)基礎知識のなさをなんとかしたい、ということで。まずは姉妹本(?)の『もういちど読む山川世界史』から手をつけて、今はこちら。「近代世界システム」という、世界を「中心国」(西欧)と「周辺国」「半周辺国」の関係として読み解く切り口で書かれていて、『…山川世界史』が高校教科書をベースにしていたのとは違い、昔同社から出ていた現代史の単行本シリーズが底本らしいです。じつはその現代史シリーズのイギリス編がすごくよくて、図書館で借りたあと購入し、今も線引いて汚しながら読んでいるので(笑)、今回の本も信頼して読み進めてます。たしかに各国史の平行記述より入りやすいです。このへんの時代はイアンの専門領域なので、がんばって追いつきたいです。というか、楽しくなってきました。資料読みがライフワーク化してはミイラ取りがミイラなので(?)気をつけなくてわ~。

 

 

両大戦間における国際関係史

 

ファンになっているE・H・カーせんせの本を古書でいろいろ集めています(安価なものだけですが)。これはタイトル通りの本ですが、カーせんせの本としては出色の読みやすさ。こちらもイアンの領域の本なので、線で汚しつつ、舐めるように少しずつ読んでます。60~70年代の本はやっぱり時代感がたまらんです~❤(笑)

 

 

最近のトランプ氏がらみのアメリカの孤立主義化やヨーロッパの右傾化などが、一次大戦後~二次大戦勃発前(ちょうどカーせんせの本で読んでるあたり)と似た状況になってきてる、という話が聞かれます。確かに、と感じるのですが、妙なシンクロはしてほしくないものです。

 

*      *      *

 

 

…ぜんぜん関係ないですが、今日テレビで声優の三ツ矢雄二さんがカミングアウト、という話題でご本人が出ていて。スラップスティック(という声優さんのアイドルグループみたいなのが昔ありました)とかの頃からそういうキャラで真正だと思っていたので、正直「ええっ、今さら?」というのが第一印象でした。が、二十代~三十代初め頃まで一緒に暮らしていた人がいた、とか堅実なお話を聞いているうちに、「キャラ」として表現することとリアルライフをカミングアウトすることはまったく別物なんだな、とつくづく思いました。今後は海外のゲイがテーマのミュージカルを日本に持ってくるようなプロデュースなどなさりたいと話しておられました。楽しみです。しかし声も見た目もあまり変わらないですねえ……62才とは驚きでした! 『コンバトラーV』とか懐かしい……!

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2017年明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。昨年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。つい一昨日はコミケ参加だったので、まだ余韻が抜けません。スペースにお立ち寄り下さった皆様、ありがとうこざいました!

 

今日はお正月モードで写真など撮ったので、のんびり書こうと思います。あ、最後に無料配信のお知らせもさせていただきます!

 

朝からいいお天気で、毎年行っている近所の神社へ初詣に行き、途中で初ネコ初アオサギをゲット。アオサギは家の前の川に生息していて、イメージがイアンに似ているので勝手にイアンと呼んでいるのですが、最近姿を見なくて寂しかったところでした。……幸先いい、今年はいい感じで原稿が進むかも♪……ということにしておきます。(笑)

 

神社はふだんは無人のところで、朝九時頃行ったら「店開き」するところでした。なんとお社の中からおみくじの箱だのなんだの出てくる出てくる…ふだんは物置というか収納スペースにもなってるんですねー。(^^;)昨年くらいは大晦日だけは深夜もテントを張ってお守りとか販売していたはずなのですが、集まる人が少ないのかな…。ちなみにおみくじは「末吉」でした時間はかかるけど願いは叶うそうなので、それを信じてがんばります。(笑)

 

下の左は(ボケてますが)川向うのアパートの上から下界を睥睨していたアオサギイアンさん。

右は「準備中」でお社から備品を運び出してる神主さん(?)。参拝者が「開店」を待っている牧歌的な神社です。(笑)


 

そして今朝は一応、お雑煮とクルミ餡でお餅をいただきました。じつはおせちは昨日から開けてしまっていて、あまり特別な感じがしません。(笑)お雑煮は母方が宮城なので東北風です。

 

コミケのご報告は個人ブログのほうで詳しくするつもりですが、初めて創作JUNE/BLでスペースをいただけ、初参加に等しいので、このジャンルの本としてメインで持ち込んだイアン・ワージングシリーズのお試し無料本をちらほら持って行っていただければ御の字…と思っていました。が、意外にも無料本はほぼすべてなくなり、有料本も二次の既刊を含めていろいろお買い上げいただけました。男性も買ってくださったことにびっくりです。(コミケの「創作JUNE/BL」は「女性向け」ではなく、ゲイの方向けの作品も混合のエリアなんですよね。でもヘテロでもBL読む男性はたくさんいらっしゃるので、あまり関係ないかも……)皆さまありがとうございました。楽しんでいただけていたら嬉しいです。

 

…昨年は、このイアンシリーズの新刊が出せなかったのがとにかく心残りなのですが、焦らず良いものにしようと決めたので、今年も焦らず、地道に進めていきたいと思います。出来上がりました暁には、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

 

 

*      *      *

 

 

現在、1/3までの予定で下の二つが無料配信中です。未読の方にお試し頂けたら嬉しいです。


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お手頃手帳替え

最近管理することが増えたのもあって、ちょうどいいタイミングなので先月から手帳を替えてみました。以前は100均で買ったA6のマンスリーダイアリーと、同サイズのフツーの罫線つきノートをノートカバー(コクヨのシステミック)でまとめて使ってました。ノートは一日1ページで左側にバーチカル風に予定を書き込んで、デイリーダイアリーとして使ってました。

 

新しくメインで組み合わせたのはB6サイズで、ユナイテッドビーズのデイリープランナー(日付なし・194円)と、100均のマンスリーダイアリーの10月始まり。ついでにユナイテッドビーズのウイークリープランナー(こちらも日付なし・194円)も購入。このメーカーのファンクションノートシリーズは高機能+安価で気軽に試せて嬉しいです♪以前はB5とA5しかなかった気がするのですが……今の自分にはB6でちょうどいいです。

 

(ちなみに近所で扱ってる店がないので通販でした。でも東京ビッグサイト近くのTFTビル内の丸善で、以前B5サイズを買ったことがありました。先日コミティアを見に行ったときそれを思い出して、予備を買い込んできました♪)

 

デイリープランナーは1日1ページで、左側に24時間のバーチカル、右側上段が空白、下段が罫線の入ったメモ覧です。つまりこれまで手書きでやってたのとほぼ同じ仕様。今は上段にTo Doや買い物メモ、下段に記録として残すことなど書いています。一冊64ページなので約2カ月分ですが、もともと一年分を持ち歩く必要はないので軽くて良いです。ウィークリーも64ページですが、「今週は●●を終わらせるぞ」と自分を鼓舞したいときに使うだけなので、暇なときは使わないです。(笑)

 

これまでがA6だったせいか、B6になったらすごく広く感じられて、いろいろ書き込んでます。ただ、やはりカバーはほしくて、愛用していたシステミックがA5かA6しかないので、今回はB6で似たような機能のキングジムのノートカバーにしてみました。価格は多少変動あるようですが、自分が買った時はアマゾンで1139円。ポメラに続いてキングジムさんにお世話になりますー。(笑)

 

こちらがそのノートカバー。ゴムでなくマグネットでとめます。
開いた背表紙部分にくぼみがあり、ペンを引っ掛けられるようになってます。
上記のノートは薄いので、三冊でも十分入れられてます。

しおりヒモが2本なのはシステミックと同じで助かります。さらにTo Do List Boardという、付箋を貼るプラスチックの板にめくれる透明カバーがついたものが付属していて、これがすごくスグレモノです!前から自分で付箋を貼るスペースを作ったりしていたのですが、カバーがないとはがれてなくなってしまったりするので、ちょうどこういうものを自作しようかと思っていたところでした。付属品はよく見ていなかったので実物を見て初めて知り、嬉しいサプライズでした!

 

デイリープランナーを開いたところとノートカバー付属の付箋ボード。
使っているものなので文字はぼかしを入れてます。

(露光の関係か罫線もあまり見えないですね。スミマセン(^^;))

 

100均(キャンドゥ)のB6マンスリー。昨年、週の初めにメモ欄があるのものを探していて、同じもののA6版を買いました。
今年は冒頭に月ごとのメモを一覧で書き込むページがつきました。
イベントや出版目標など1年分を計画できそう。ありがたい改良です。

 

ユナイテッドビーズのウィークリープランナー。バーチカルが1週間分並んでいて、
左側にメモ欄、各曜日ごとにチェックボックス欄もあります。

 

使い始めるとデイリープランナーだけで持ち歩きたいこともあるので、そういうときは100均のマンスリーにかかっていたビニールカバーをこちらにつけたり、いろいろ試行錯誤中……でも手帳ってこういう、目新しく感じている時期が楽しいんですよね。(笑)

 

目下の悩みは、100均では手帳は月曜始まりがメインであるにもかかわらず、カレンダーは日曜始まりしか見当たらないことです。昨年ダイソーで買ったリングノート風のシンプルなカレンダーが使いやすかったので、今年も見つけてすぐ買ったのですが、照らし合わせてみたら月曜始まりの手帳と日曜始まりのカレンダーということに……。100円だったのだし、無駄になっても素直に月曜始まりのカレンダーを買いなおせばいいんですけど、なんか悔しいのであります……。100均で月曜始まりのカレンダーって出してくれませんかねえ……!

 

【追記】…とか書いたあとキャンドゥで見つけました月曜始まりのカレンダー! 残念ながら自分にはちょっと大きすぎ&小さすぎの二種類しかなかったので買いませんでしたが、この前見た時は確かになかったので、これから出てくることも期待してチェックしようと思います~☆

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ハロウィーン無料配信・コミケのお知らせ

10/31はハロウィーン、ということで、今年もハロウィーンにちなんだお話を無料配信いたします。シリーズお試し短編で設定のご案内つきですので、前作未読の方もぜひどうぞ。

 

無料配信
10/30(pm 5:00)~11/1(pm 5:00)
(時間は前後することがあります。ダウンロードの際は価格欄をご確認下さい)
History: 低体温男子イアン・ワージングのハロウィーン

(イアン・ワージングシリーズ2)

マイルドBL・MM系小説(R15程度)です。

 

ゲイの歴史ライターイアンの、元彼との回想をまじえたハロウィーンのお話。比較的コミカルなシリーズ中では異質のしっとりとした一本になっています。お楽しみいただければ幸いです。

 

*      *      *

【同人誌イベント参加のお知らせ】

 

 

年末のコミックマーケットにスペースを頂けました。こちらのサイトでは電子書籍をご案内していますが、コミケは大きなリアルイベントなのでご案内させていただきます。kindle本の紙版同人誌のほか、未電子化作品、二次同人誌の在庫も持参予定です。おついでがありましたらぜひお立ち寄りください。

 

12/30(金) 西み29b

SUSSANRAP(サッサンラップ)

(「創作JUNE/BL」エリア)

 

コミケウェブカタログ/SUSSANRAP

(要ログイン)

 

コミックマーケット公式サイト

 

 

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〔内祝〕情報カード様のおかげでよーやくシノプシス貫通❤(涙)

 

難航していたイアンシリーズ新作のシノプシス、今朝アサメシマエの時間帯に紙の情報カードで整理しなおしていたら、予想外にラストまで貫通(?)してくれましたっ!(涙)

  

で、思わず記念撮影しまくり。もう今日の成果ここまででいいし、欲をかいてもだいたいダメだからブログでも書こう、というわけで(笑)。タイトルは「(メインタイトル):●●男子イアン・ワージングの●●●」というフォーマット(?)を継続しようと思っているのですが、サブタイトル後半部分の「北海旅情」だけは気に入ったので使いそうです。他は内容の変更しだいで変わるかもしれないので写真にボカシを……。(特に問題ある表現というわけではないですー!(^^;))

 

とにかくものすごく苦労していたので、いきなりできたとき自分でもポカンとしました。いわゆる「ゾーンに入る」という状態になれたこと自体がものすごく久しぶりで……最高ですね。時間の感覚がなくなって集中している状態。これが味わいたい、というのも創作活動がくせになる要因の1つかも。最近は気が散る状況が重なったこともあり、「こしらえよう」という姿勢から抜けられてなかったなー、と思いました。まあこれは、なかなか思うようにならないものですけど。それをコントロールすること自体が大切なプロセスですね。…そういえば、今朝ツイッターでジャン・コクトーのこんな言葉を見かけました。

 

 

(元が英語訳なので重訳ですが)「詩人はこしらえない。詩人は聴くのだ」

 

自分がやってるのは詩じゃないですけど、ゾーンに入れたときの創作はまさにこれだという気がします。

 

…それはさておき、ふだんはポメラで思い付きを書き出し→PCでWordやフリーマインド(マインドマップ的なツリーが書けるソフト)あたりを行ったり来たり……とかやってるのですが、煮詰まったときにこの「紙の情報カードに書き出して整理する」のプロセスを入れると、壁をスルッと抜けられることがあるんですよね。今朝がまさにそれでした。貫通と言ってもまだ「暫定的なたたき台」が完成しただけなので、壊したり書き足したりを延々とやるわけですが……。

ついでにインデックスも記念撮影。カード作業が長引くと項目も増えたりすると思います。自分だけわかればいいので自分用語ですが、「オモテライン」は事件や出来事の進行、「ウラライン」はキャラクター同士の心のドラマとか、イアンの内心の変化などです。これがうまく絡んでくれると理想でございます☆

 

「ガイドライン」は今回注意しようと思っていること。「ムダなシーンを作らない」とか「設定は背景にとどめる。読みたいのはキャラクターのドラマ」…とか、思い付きや映画や本から気づいた注意点なんかをいろいろ書きとめてます。「資料」は新しく探すべき資料のメモ、「Now working」が今やってること・次にやること。リサーチを複数していて錯綜したり、別の仕事で間が開いたりすると「あれ、なにやってたんだっけ?」という確認作業でかなり時間をとられるのがわかってきたので苦肉の策です。(^^;)

 

「あとまわし」と見えてるのは、最近読んだ本からヒントを得た「あとまわしリサーチ」。壁に突き当たってたときに読んだ『脚本を書くための101の習慣 創作の神様との付き合い方』という本にあったことで、逆説的ですがリサーチは可能な限り後でやる、というご託宣(?)です。この本自体はハリウッドの現役脚本家さんたちへのインタビューを項目ごとに編集したもので、内容は「書き方」ではなく「書く過程で遭遇するアレやソレにどう対処しているか」です。なので、ハリウッドでの仕事の得方とか業界特有の話を抜かせば、個人的な創作にも役立ちます。長所はたくさんの意見が載っていて、たがいに矛盾する意見も載ってること。「その時の自分」に合うものが見つかる頻度が上がってます。自分の状態もコロコロ変わりますからね。(笑)

 

引用した「リサーチは可能な限り後でやる」は、没頭して乗って書いてるときに中断してリサーチなんて、という方の意見。自分が今やってるものはある程度リサーチが済まないとキャラクター自体が動いてくれませんが、書き手の生理的な流れを優先する、ということを言っていると思いました。今回は過去の心残りからかなりリサーチをしているのですが、逆に調べたことをそのまま書いてしまったり、面白くもないウンチクが紛れ込んでストーリーが止まったら最悪だという自戒と、やはりキャラクターのドラマがメインだと思うほうだし、それは経験でも没頭できたときにいいものになるので、意識して優先しようと思いました。それに、「リサーチ」が「書くこと」からの逃避になることも、じつはかなりあるのです。これもこの本に「サボりの隠れ蓑」とあって、うわあそーいう時ってあるある~、と思いました。(笑)

 

さて、そんなこんなでいちおうラストまでいきました。情報カード様様です。カードに一つの章とか一つのシーンごとに書いていくと、そこだけ考えればいいので集中しやすいのかな……とも思います。順番変えとか一瞬でできて気軽ですし。…ちなみに、前回インデックスを鉛筆で書いたので使い回してます。たまーにしか使わないので勿体ないですし……。(前回違う使い方をしたので項目は変わっておりマス)カードボックスも使い回しで歪んでます(笑)。今回は消せるボールペンのフリクションボールです。鉛筆を消すのはけっこう面倒ですが、今回はカードの中身もフリクションで書いてるので、本編書き終わったらドライヤーで温めればカード全で再利用できるかもです!(笑)

 

今週末はコミケの当落がわかるので、ちょっとドキドキしてます。これで年末までのスケジュールが決まります。新作はコミケに間に合うかどうかわかりませんが、間に合えば紙の同人誌を出したあとにkindle版も出す、といういつもの流れになると思います。バイトと賃仕事をしながらの創作ですが、せっかく少しずつ、読み放題などでもお読みいただけるようになってきたので、シリーズを自分にできる限り面白い(=「自分で読んでも面白い」)ものにしたいと思います。手前味噌ですが、これまでのところほぼそこは達成しています。新作では前作までで心残りだったところを改良して、より満足のいくものにしたいです。

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意外やテーマは自分探し?/70年代北海油田冒険小説『北海の星』

ただいま、次のイアンものの資料を漁っております。北海に沈んだUFO、という話になる予定なので、北海関係、UFO関係をいろいろと。モチーフとしてがっつり出すかどうかは関係なく、なんとなく心惹かれるものを見て回ってるのですが……いやー楽しい楽しい♪(笑) マイブームになってしまったのが「北海油田」です。なんというか、巨大な工場が海上ににょきり生えているような、姿のSF感がたまらなくて。廃墟萌えにもがっつり対応する魅力です。アマゾンで検索してたら海上油田基地のプラモデル(廃墟じゃないけど)まであって、桁が一つ低かったら買ってました……。(高い(笑))

 

そんな中で、北海油田そのものを舞台にした小説を見つけました!それがこちら、ハモンド・イネス作『北海の星』。シェトランド諸島の西に発見された油井がモチーフなので正確には大西洋なのですが、大きく北海油田の一部と括られるようです。

 

これ、書かれたのは1970年代。主人公が労働争議に関わってたり、「コミュニスト」や「アナーキスト」などの用語が飛び交って素敵な時代感があります。北海油田がブイブイ言わせてた(この言い方ももう死語?)のがこの時代なので、当時の「ホットなモチーフ」で書かれた海洋冒険小説、という感じです。イギリスのアマゾンで感想を見てみたら、今は失業補償制度があるから、労働争議にここまで入れ込む気持ちがわからない……というのがあって。なるほどなー、本国でも時代が変わるとこういうものなんだな……と興味深かったです。日本はその点まだまだなので、かえって感情移入はしやすいかもです。(ただ、過激な行動はやはり受け入れがたいかも)

 

読んで「あれっ」と思ったのが……この主人公、冒険小説の主役らしくないんです。

年齢ははっきりしませんが妻と疎遠になっていて、たぶんもう若くはなく三十代後半~四〇代前半くらいの印象。幼少時に両親が離婚し、母が再婚した富豪の義父とは折り合いが悪く、高学歴ながら放浪の末労働者側に立つようになり、今はトロール漁船に乗っている……という、ありがちといえばありがちなナイーブな主人公。それはいいとして、いろいろと割り切れてないし強くもなく、判断力もない。やっちまったあとに後悔ばかりしていてます。だけどクライマックスではなぜか知識もないはずの油田基地の指揮を執る羽目になり(「門外漢が専門家より正しい判断をする」というお約束(笑))、何もしなくとも女性(主人公と対照的にしっかりした、生活力がある魅力的な未亡人)がすり寄ってくれて、じゃあ妻はどうすると思ったら(予想がつきますがネタバレ自粛)……とまあ、男性の願望を満たすエンタメ作品ゆえ仕方ないですが、女性の目で見るとちと都合がよすぎて辟易する部分もありました。(^^;)

 

で、この彼がとある陰謀に巻き込まれ、死んだ実父の秘密などが絡んでいくのですが……文字通り巻き込まれ型。行動は完全に受け身です。おまけに最後は騒動の中で出会ったかの女性と生きていこう、という予定調和でげんなりしたのですが……ハタと気づきました。原題は"North Star"。物語に出てくる油田基地の名前なのですが、意味としては「北極星」です。これは人生の目指すべき方向を示すものの比喩。そこで「ああ、全体が自分探しの話だったのか……」と合点がいったわけです。(邦題は工夫したのでしょうね。北極星じゃイメ―ジ湧きませんし、当時ホットだった北海油田のイメージを取り込んだ判断は正しいと思います。原題の自分探しのニュアンスまで含めるのは難しいですね)

 

wikiを見てみたら、このハモンド・イネスという人の書く主人公は「冒険小説の主人公らしくない」のが特徴だそうで、この作品もこの人らしい作品であったわけです。綿密に取材をして書く方だそうで、この小説も前半に海上油田基地の微に入り細に穿った描写がありました。自分はそれを読むのが目的だったものの、小説としては情報量に作家自らが翻弄されている感じで、そこが物語から乖離して浮いている印象がありました。あとがきに時間の制約で筆を急いだ、という記述があったので、それはそのせいかな、と思いました。(現実が考えていたものに追いついてきてしまい、早く出さなければ、という状況だったらしい)別に読んだ北海油田のルポルタージュと同様で、こちらもシェル石油の油田基地を取材して書かれた、とのことでした。まあそのへんを読むには良かったかな、と思います。

 

…なんだか辛口なことを書いてしまいましたが(^^;)、じつはこのハモンド・イネス、かすかな思い入れがあります。読んだこともないのに名前に聞き覚え(読み覚え?)があって、記憶を手繰ったら大昔に父の本棚にあった海洋冒険小説が、この人の『銀塊の海』という作品でした。新聞以外ほとんど読まない人なので印象に残っていました。日本では70年代頃翻訳が出版されたようですが、1950年代には映画化作品もあります。『キャンベル渓谷の激闘』(1957)はダーク・ボガード(『ベニスに死す』の!)とスタンリー・ベイカー(『ズール戦争』の!)、『メリー・ディア号の難破』(1959)なんてゲイリー・クーパー、チャールトン・ヘストン、リチャード・ハリス出演と豪華。いずれも日本でDVDは出ていないようなのですが、見てみたいです~!

 

 

…冒険小説でナイーブな主人公というのも、当時は新機軸だったのかな……なんて想像しています。今ちょっと70年代あたりの空気感がマイブームなので、ちょっともう少し漁ってみたい気もします。紙の本は軒並絶版ですが、古書やkindle版ではまだ手に入るようなので……『銀塊の海』も機会があったら読んでみたいです。(老父に「これ持ってたよね」と聞いたら「そうかあー?」と流されてしまったので、家で探すのはあきらめました……(笑)) 

 

下はYouTubeで見つけたハモンド・イネスご本人の映像です。未使用とのことで音声もありませんが、なにかのPR用でしょうか。時代感がたまりません…。

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不在者への恋文/『イヴ・サンローランへの手紙』

君はアーティスト、そして私は絶対的自由主義者。

ところが人は私たちを実業家に変装させた。とりわけこの私を。

(『イヴ・サンローランへの手紙』p.55 ピエール・ベルジェ/川島ルミ子訳 )

 

2008年に亡くなったデザイナーのイヴ・サンローラン。ほぼ同時期に作られた伝記映画2本(『サンローラン』『イヴ・サンローラン』)を先日鑑賞しました。そのあと読んだのがこれです。サンローランはゲイだったそうで、著者は50年間公私にわたってパートナーだったピエール・ベルジェ。(表紙写真の右がベルジェ、左がサンローランです)サンローランの死の直後から約1年間の出来事、回想などが書かれた本で、ある意味極上のJUNE文学でした。おすすめです。

 

…ちなみに自分はもともとブランド品に興味がなく(^^;)、サンローランもかろうじてデザイナーの名前だと認識していた程度。「イヴ」なんて女性かと思っていたくらいです。(スペルが違うんですね。ブランドマークにも入っているYでYves。知らなすぎてスミマセン)サンローランがゲイだったことも、もちろん映画で初めて知りました。なので、あくまで(ブランドへの思い入れなしに)鑑賞している立場だということをお断りしておきます。

 

イヴのことを思うとき、わたしがまざまざと思い浮かべるのは、

ディオールでの彼の最初のコレクションの後で知り合った近眼で内気な青年だ。

私の手を取り、連れていくようになる青年。栄光に出会ったことを、それが二度と彼を放さず、

スタール夫人が言うように「幸せの華やかな喪」をもたらすことを

彼がまだ知らなかったこの壊れそうな瞬間を私は思う。

彼は二十一歳だった。(p.176-177)

 

文章を読んで、この人はサンローランの脚注としての経歴――五つ年上で同性愛の恋人でもあり、独自のメゾンを協力して立ち上げ、その後私生活では別居したものの、サンローランの死後まで経営に従事――から想像しやすい、パトロンと実業家を兼ねたような人物とは少し違うと感じました。二人が出会ったとき、ベルジェはファッションでなく美術関係の仕事をしていたそうですが、もともとは文学を志していた人だそうで、「死者への手紙」という体裁のこの独白的エッセイは、ヴォードヴィル賞という文学賞を受賞したそうです。なんというか、納得。読んでいると、感触はまぎれもなく「文学」です。薄い本で、文字も余白も大きい。でもサラッと読めはしない本。ゆっくりと意味を咀嚼して、味わうための本。秋にじっくりと読むにはうってつけで、映画等で予習してから読むもよし、本の行間から二人の関係を推し量るもよし、です。

 

明日、バビロン通りの家を友人たちに見せに行く。
よきにつけあしきにつけ多くの思い出がぶつかり合っている。
そこだ、私たちが幸せだったのは。
そこだ、私たちが不幸だったのは。
そこだ、アルコールとコカインでいっぱいの君が、

このギリシャの頭像で私を殺しそうになったのは――。

私はかろうじてそれを避けたが。
そこだ、耐えがたい年月が始まったのは。
 (p.25-26)

 

書簡集をたくさん読んでいるわけではないのですが、好きな書簡集がひとつあります。奇しくも同じフランス人のジャン・コクトーが、終生のパートナーであった俳優ジャン・マレーに書いた手紙を集めたものです。同性愛者がパートナーに宛てて書いた「手紙」で、返信は含まれていないという意味でも2冊は共通項があります。両方とも、途中で別々に暮らすようになり、それでも終生濃い絆で結ばれていた方たちです。

 

今回のベルジェの文章は、読んでみると手紙というより散文詩のようで、やはりコクトーのものを思い出してしまいました。が、フランス人がみんなこんな手紙を書くわけではありますまい。ベルジェはコクトーとも親交があったそうで、本の中にも名前が出てきます。(「コクトーはなんて正しかったのだろう。布とタオルを混同しないようにしよう」)この感触の近さは、同じフランス人でカルチャーとしても同時代の近いところにいた人達であるせいなのか、どうなのか。…まあ理屈を見つけることは専門家に任せて、ただ味わうことにしました。これは素人の特権です。(笑)

 

ある日、君の強い願望は悪魔と戯れることだとわかった。

私は君にとってバランスが取れすぎ、いわば堅すぎ、

そのために私は君を救うことかができなかったのだよ。(p.58)

 

この文章のある種のたどたどしさは、原文の味なのかもしれません。訳者のあとがきによると、個性的な文体をなるべく残そうとなさったそうです。「なのだ」と「…よね」がまぜこぜに出てくる形式的なことは別にして、書かれている内容の「なめらかな散文」にならない、感覚にいちいちひっかかる感じは好きです。なめらかすぎる散文は、時々ただのクリシェの連続にすぎないこともあるので。この文章はそうではないです。リアルな感情を記そうとするとそうなりますよね。コクトーのほうが実生活についての記述が多いのは、生きている相手に書いているからでしょう。

 

ベルジェの思索がまた興味深いです。我田引水ですが、以下のものなど、JUNEについて思うこととまさに重なります。

 

官能性、肉体、性とは何なのだろうか? この的を得た文

「いわゆるセックスと呼ぶことを民主化することにより、

人はまちがいなく官能的豊かさへの道を閉じたのである」

官能的豊かさという見解が私はとても好きだ。

体をエロスから切り離すこの見解を私は気に入っている。(p.79)

 

驚いたのは、ベルジェがサンローランに出会う前、画家のベルナール・ビュッフェと暮らしていたと書いていることです。絵画には詳しくないですが、ビュッフェは夢中になったことがある数少ない画家です。私が学生時代に見たのはたぶんデパートの美術展で、そのころよく催されていた印象があります。太くて荒々しく見える黒い輪郭線と、モノトーンの、特に風景画が印象的でした。たしか複製画を買って飾ったような……。(うろ覚えなので間違っていたらすみません)でも若い頃男性と暮らしていたとは知りませんでした。ベルジェははっきりそういうニュアンスで書いているので、単にルームシェアしていたわけではないでしょう。ウィキペディアのビュッフェの項を見ましたが、まったくその頃のことは出ていません。ビュッフェが結婚したのは1958年。ベルジェがサンローランと出会ったのがやはり58年です。

 

同性愛者であることについて、ベルジェは「一度として隠しもせず、見せびらかしもしなかった」としていますが、18歳で故郷を離れてパリに出るときに母親にもらったという手紙から、じつに印象的な引用があります。手紙自体はなくしてしまったけれど忘れたことはなかった、と記しています。

 

「今度はあなたの同性愛のことを話したい。

私にショックをあたえることは何もないし、

私が何よりもあなたが幸せでいることを望んでいるのを知っているでしょう。

でもあなたの交際が心配だし、

それにもしもあなたがスノビズムや出世欲からゲイになったのなら、

私が認めないことも知っておきなさい」(p.133)

 

 

ベルジェとサンローランの関係はとても苦渋に満ち、複雑なものでもあったようですが、やはりこれらは「恋文」だと思いました。なんというか、人と人の関係というのはそういうものなんだなあ、と感じます。また、死んでしまった人、生きていてもけっして会うことのない人は、逆説的に、思いを捧げるには完璧な対象になりますね。サンローランの生前には、やはりこういう文章は書かれ得なかったでしょう。悲しくはあるけれど、すべてが終わったからこその静かな境地があります。文学になり得ている一つの要素は、こういったところから匂い立つものでもあります。以下の二つは、二人が集めた美術品の展示・オークションに当たっての言葉です。単純だけどすごく印象に残りました。

 

このすべては君なしではなんの意味もないのだよ。

 

私たちの暮らしは展示され、しかも売られる。(共に p.55)

 

最後に、サンローランに対して、二人がやってきたことに対しての言葉を引用します。

 

不可能なことは何もないと、

奇跡を信じなければいけないと、

そしてまず危険を考える人には耳を傾けないようにと、

私が言い続けていた人。

私たちは危険を無視したから実現できたのだ。

この上もなく常軌を逸したこうした夢を。

なぜならば私たちは正気ではなかったからだ、まさしく。(p.178)

 

私のようにお二人になじみのない方は、やはり映画から入るほうがイメージしやすいしれません。伝記映画二本は、いずれもサンローラン役は絶世の美男俳優が演じています。(『サンローラン』では若い頃を『ハンニバル・ライジング』のギャスパー・ウリエル、晩年をかつて伝説の美男俳優であったヘルムート・バーガー(むしろこちらの今の姿に感慨が)、『イヴ・サンローラン』では、この作品でブレイクした新星ピエール・ニネピエール・ベルジェ役に関しては、どちらの映画と較べてもご本人のほうがハンサムだと思います(笑)。好きな昔のフランス人俳優でフランソワ・ペリエという人がいるんですが――コクトー映画の『オルフェ』で演じた死神の運転手がとても好きなのです――彼をさらに洗練させた感じです。特に若い頃の写真はとてもハンサムで、そのうえ芸術に造詣が深く、自分に足りない性質を補うように持っているこの人物に、21歳のサンローランが惹きつけられたのはなんとも運命的な気がします。というか、その後の二人の生きざまが、遡ってこの出会いを運命的なものにしているんでしょうね。

 

伝記映画以外にドキュメンタリーもあるそうで、そちらも見てみたいと思っています。

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風呂敷ブックカバー+読み放題御礼

風呂敷ブックカバー

 

昨日の朝刊に風呂敷の利用法があれこれ載ってまして、その一つがブックカバーでした。これはナイスアイディーア♪ 50センチ四方の綿のものをハードカバーに使うのがおすすめ、とのことだったので、「持ち腐れている鳥獣戯画のふろしきを生かすのは今だ…!」とばかりに試してみました。

 

参考にした記事はこちらです。

 朝日新聞:(くらしの扉)ふろしき、出番たくさん 旅行に災害時に、工夫次第

 

ちょうど図書館で借りたハードカバーで、大きくてちょっとこっぱずかしい(?)資料を読んでまして、以前書店でもらった紙のブックカバーを使い回してたのですが、使い回しすぎて傷んできてたので渡りに船♪

 

…で、カバーをかけた状態がこちら。

 

最初は普通の紙のブックカバーみたいに折り返した端を内側にしてみたのですが、端と端が重なってごわついてしまいました。やはり記事に載っている通りに、端を外側に出してポケットにするほうが見た目にも美しいです。使い心地はまだわかりませんが、気に入ってる柄でカバーができただけでも持ち歩きたくなりますね。(笑)けっこう気に入りました。

 

やってみれば「なんだこれだけのこと」なんですが、なかなか思いつかないものです。(思いついても自分のアイデアだと自信がなくて実行しなかったりもする(笑))ミニサイズふろしきってミュージアムショップで記念に買うこととかありますけど、買うときは絵柄で選びますよね。そのわりに目にできる形で使う機会はなかなかないので、これはいいアイデアだな、と思いました。バンダナもサイズはほぼ同じなので、柄が好きで買ったものでいろいろ応用できますね。

 

 

読み放題御礼

 

kindle Unlimitedが始まって一カ月余り。夏休みは終わりましたが、引き続き読み放題でぱらぱらとご利用いただいていて、普通のご購入も変わらぬペースでお読みいただけております。ありがとうございます。もともとDL数は少ないので、本来売上だったものが読み放題に移ったというより、このシステムのおかげで新しいご縁ができた、という感じですね。零細個人出版にとってはとてもありがたいてす。

 

読んでくださってる方々はやはり日本ストア中心ですが、先日はイギリスストアでイアン・ワージングシリーズの一冊目、分冊版上巻をお読みいただけました。ちょっと珍しいことなので記念に画面保存しました。現代のイギリスが舞台のお話を現地の方に読んでいただくのはちょっと冷や汗ものですが、引き続き続刊も楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

記念保存画像から。

一時的に「日本語-ロマンス」と「日本語-ファンタジー、ホラー&SF」で1位、
全言語ひっくるめたゲイ&レズビアンの「ロマンス-ゲイ」で757位になっていました。
(マイルドBLですがレイラインとか出てくるので、いちおう超常現象系にも入れていただいてます~)


「イギリスストアでの日本語BL」てえらく狭い世界ですが、ご同好は地球の裏側にもいる、We are not alone! …でございます。 ということで針小棒大にヨロコビます! …次の長編用の準備で四苦八苦しているところだったので、真面目にとても励みになりました。ありがとうございます!m(_ _)m

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創作について(テッド・チャンさんインタビューから)

今日はちょっと趣向を変えて、一足早い読書の秋っぽく(?)、SF作家テッド・チャンさんのインタビュー(の一部)を拙訳でご紹介したいと思います。リアルタイムでは唯一好きな作家さんで、同人サイトにこそっと情報置き場も作っているのですが、今回インタビューのこの部分が「兼業で創作をしている方・書くのが遅い方」(自分は両方当てはまります(^^;))にとても参考になる内容だと感じたので、こちらでご紹介することにしました。このサイトで言及するのは初めてだと思うので、プロフィールなど少し。(お詳しい方は飛ばしてくださいね)

 

テッド・チャン氏は中国系アメリカ人(中国語はできないとのこと)で1967年生まれ。寡作な作家さんで作品も短編ばかり。邦訳書は短編集『あなたの人生の物語』だけ(他は数作がSFマガジンやアンソロジーに掲載)ですが、作品は揃って珠玉で受賞歴も華々しいものです。SFというジャンル(そして数学や物理学)を愛し、こだわりを持って書いている方ですが、作品は「いわゆるSF」というより、広い意味での「美しさ」が魅力だと感じます。(自分は特化したSF読みではまったくありませんし、理系でもないことを付け加えておきます)

 

その作品テイストが好きなのはもちろんですが、地に足の着いた活動や、インタビューやレクチャー等から垣間見えるものの捉え方や審美眼、穏やかな物腰からは想像がつかない芯の強さ、創作の姿勢(テクニカル・ライターとして仕事を続けながら作品を書いておられて、ご本人いわく「occasional writer (日曜作家)」)などを含めてとても尊敬しています。

…じつは年齢は同じなのですが、ずーっと年上のように感じます。これは予備知識ゼロで初めて作品を読んだ時にも感じたことで、当初は「女性が男性の名前で書いているのでは?」という印象もありました。女性キャラがリアルに感じられたからです。(男性作家の作品でそう感じたことはあまりなくて、自分が読んだ中でそう思ったのは、「リアル」の方向が違いますがE. M. フォースターくらいです)

 

作家としてはSNSや公式サイトなどネットでのご活動がなく、最新情報は自分で探すしかありません。(涙)でも最近、短編集表題作の『あなたの人生の物語』が映画化され、アメリカでは今年11月に公開予定になっています。映画版のタイトルは "Arrival"。ご本人の反応は淡泊なようですが、映画はアカデミー賞狙いの時期の公開で、配給側の期待がうかがえます。前評判も良いようです。これからはチャンさんの情報も楽に手に入るようになるかもしれません。

 

前置きが長くなりました。ご紹介するのは、少し前にネット公開された長いインタビューのほんの一部です。創作に関して話されている数箇所から訳したものを、間に区切りをはさんで載せています。(このインタビューでの映画化作品に関する言及部分は、前述の情報コーナーでご紹介しています。ご興味をお持ちの方は文末のリンクからどうぞ)

 

インタビュアーは十年来のご友人でご自身もライター/エディターのミーガン・マッキャロンさん。文中の「M」はマッキャロンさん、「C」はチャンさんです。

 

 ※以下はファンが思い余って勝手に訳しているもので、記事の著作権は下記リンク先のサイト様所有です。

問題が生じましたらその時点で削除させていただきます。m(_ _)m

(I don't own the rights to this interview. All rights belong to the website below.
Just as a fan, I translated a part of this interview into Japanese personally.)

  

インタビュー原文ページ
The Legendary Ted Chiang on Seeing His Stories Adapted and the Ever-Expanding Popularity of SF

 


 

 

M: あなたのライティング・プロセスはすごく独特で、(少なくとも外から見ると)すごくシステマティックだと思う。あなたは一年のうちある部分はフリーランスのテクニカル・ライティングに、別の部分は短編に費やしてる。あなたがリサーチを大量にするほうで、いつもストーリーのエンディングを最初に書くことは知ってる。構成や改稿のプロセスはどうしてる? あなたがテクニカル・ライティングをするときとはだいぶ違うもの?

 

C: たいていうまくいくのは、頭のなかで長いこと転がしていたアイデアがあるとき。たとえば、誰もがライフログを記録している世界というアイデアだ。そういう世界であり得る、違う物語をいくつか考える。普通僕はたくさんのスタート地点を考えつくんだけど、それがどうなるかがわからない。エンディングを思いついたときにだけ、実際に書き出すことができるんだ。頭の中でゴール地点をわかっている必要があるんだよ。ストーリー全体を詳細にわたって思い描いてるわけじゃないけど、なにが必然的に起きるかっていうおおまかな感覚がある。時には、それまで進めようがないと思ってた別のスタート地点から構成要素を借りることもある。いつもではないけどね。それからもちろん、ストーリーを実際に書き出す過程でいろんなものが変化していく。

 僕にとっては、テクニカル・ライティングはフィクション・ライティングとはかなり違う。唯一の共通点は、自分の脳の文章を作る部分を使うってことだけだ。テクニカル・ライティングが自分のフィクションに直接影響を与えてきたかどうかはわからない。でも、僕がテクニカル・ライティングに引きつけられる元になった衝動は、僕のフィクションの根底にもある。それはアイデアを明確に説明したいっていう欲求だ。すぐれた説明にはなんらかの美しさがあると思う。読んでわかりやすいだけじゃなくて、快いものにもなり得るんだ。

 

M: それに関連したことだけど、あなたはよく草稿をノースカロライナでやってるシカモアヒル・ワークショップ(リチャード・バトナー主催の同業者のワークショップ。インタビュアーのマッキャロンさんも参加している)に持ってくるわよね。ワークショップはあなたのライティング・プロセスや、もっと広い意味の執筆生活でどんな役割を果たしてる?

 

C: 僕は、ストーリーを出版用に提出する前にフィードバックをもらうのが好きなんだ。シカモアヒルでは、たくさんの洗練された読み手からのフィードバックを一度に得ることができる。そしてもちろん、一週間をほかのライターたちと話す以外なにもしないで過ごすのは最高だよ。でも、ほかの多くのライターと違って、僕はワークショップがなにかを仕上げるまでのデッドラインを与えてくれて、それが自分を奮い立たせるのに役立つとは思ってない。ワークショップに持って行くためにストーリーを仕上げるのを急かされると、締め切りに合わせるために、ストーリーのためにはよくない判断をしてしまう。そしてその失敗を修正するために、よけいに時間がかかるはめになるんだ。だから、今では時々ワークショップの誘いを断ることがある。それであまりにライティング・プロセスを急ぐことを強いられると思う時にはね。

 

*      *      *

 

M: あなたのストーリーのなかで、あなたが関心を持ってる問題を抱える、あるいはその問題のさなかにいるキャラクターを想像するとき、どんなふうに始めてる? あなたは深刻な、一見解決不可能に見える人間の問題(ヒューマン・クエスチョン)と、それに立ち向かうのにぴったりな立場に置かれた人物を組み合わせることを、驚くほど巧みにやってのけてる。

 

C: 説明できるような特定のやり方は持ってないよ。だけど君の質問を聞いて、評論家のジョン・クルートから聞いた考え方を思い出した。ある種の出来事の連なりをもったアイデアは簡単に物語にすることができる、それはストーリーとして語られるのに適しているってことで、他のものはそうではない、というんだ。彼が気候変動を物語にしにくいトピックとして挙げたとき、彼と話したことがあった。僕は同意しそうになったけど、ふと思ったんだ。誰かが実際に書くまで、物語に向くとは思えないアイデアはたくさんある。グレッグ・イーガンの "Luminous" (邦題『ルミナス』。『ひとりっ子』山岸真・訳 ハヤカワ文庫 所収)という話がある。そのなかでは、数学の無矛盾性(「真」でかつ「偽」である命題はありえないこと)が、主人公が暗殺者から逃れる重要な決め手になる。同様に、ライターとして僕が興味を引かれることの一つは、哲学的な問題を物語にする方法を見つけることだと思ってる。

 

*      *      *

 

M: あなたのどのインタビューでも、インタビュアーはどこかしらで、あなたが特に多作なわけじゃないと指摘する。それが暗に語るのは、あなたがライターとして桁外れに粘り強いってことだと私には思える。ハイスクールの頃から作品を投稿し続けて、何年も不採用の時代を戦い抜いて、そのあとは成功の衝撃と格闘した。それから、あなたが書くことを「ハード」だと表現していることも知ってる。どうやって書くことを続けているの? あなたから遅筆な人たちへのアドバイスは何?

 

C: アニー・ディラードの "The Writing Life" (邦訳書:『本を書く』柳沢由美子・訳 パピルス)にこんなくだりがある。彼女が隣人に、書くことは嫌いだ、ほかのことならなんでもやるのに、と話すんだ。するとその隣人は、「工場で毎日働いて、それを嫌ってる奴みたいだね」と言う。書くことは僕にとってとても難しくて、自分は実際のところ向いてるのかどうか、と思うことがよくある。それから、出版業界でのいくつかの経験から、何年も書くことをやめていたこともある。だけどいつも戻ってきた。それはたぶん、書くということが、自分という人間の本質的な部分だからだと思う。書くのが遅いライターへのアドバイスということで言えば、書くことはレースじゃないと思う。もっとも多作な作家たちだけが読者を得る、というものじゃない。だから、準備ができたときに君のストーリーを出版するといい。そうすれば、作品が読者を見つけだすよ。

 


 

関連リンク

 

 

 

テッド・チャン情報メモ
(SUSSANRAP 同人サークルサイト内)

 

『完全主義者』テッド・チャンさんインタビュー(リンクと拙訳)
(牛乃の個人ブログで別のインタビューをご紹介したときの記事です)

 

 

“And in that way I live again, through you.”

(そうして私はふたたび生きる。あなたを通して)

2010年のSF大会で展示させていただいた、チャンさんの"Exhalation"の一節をイメージした生け花のプロトタイプ写真から。(部分・加工画像)

 

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