新刊『流星』について+既刊無料配信のお知らせ

お知らせしておりました新刊、AmazonとBOOK☆WALKERで配信を開始いたしました。しんみりしたシリアス3本、BL風お気楽コメディ1本の掌編小説集です。短いので「ブックレット」としましたが、静かなところでゆっくり読んでいただけたら……という感じの一冊です。どうぞよろしくお願いいたします。(価格表示が税込と税別なので違って見えますが、両方税込100円です)

 

【kindle版】流星: SF・微JUNE掌編集

 

【BOOK☆WALKER】流星: SF・微JUNE掌編集

(無料お試し版)流星【BOOK☆WALKER】

 

BOOK☆WALKERは無料本が置けるので、初めての試みで無料お試し版を作ってみました。表題作まるごと一本と、あとがき(微JUNEについてのアレコレ語り)の抜粋、既刊リンクなどが入っています。そのままブラウザでも読めるので、ぜひご覧ください。

 

表紙は正直地味ですね。(笑)今回の内容は、コメディを除いて自分の漫画絵ではどうかなあと思ったので、表紙・挿絵含めて初めて写真(著作権フリーものと自分で撮ったもの)を加工した画像を使ってみました。各々お話のあとに画像が入っているので、イメージを重ねて余韻を味わっていただけたらと思います。この手の小説で表紙に「人間の顔」を入れないという選択は、本として目に留まりにくくなりそうでジレンマもあるんですが(過去の同人誌の改稿電子版なのですが、紙版も表紙は加工した写真でやはり地味でした(笑))、イメージはこうなので、とりあえず思い付きのままいってみました。

 

「微JUNE」に込めたもの

あとがきで詳しく書いていますが、今回のテーマ「微JUNE」は、自分があくまで個人的にとらえている「JUNE」、現在の特化したBLにはほとんど見あたらなくなったJUNEの要素のなかで、そのまた淡い「かすかな感覚」を思い浮かべてそう書きました。(コメディを除いて)作品自体にBL色はほぼありません。メインモチーフとして「同性に引かれる男性」、もしくは「男性同士の間に生まれた恋愛ではない微妙な感情の動き」があるものの、テーマはエロティシズムではなく、「微妙でかすかな感情」を深読みすること。それこそが自分にとってのJUNE(の重要な要素のひとつ)だからです。遠慮したとか恥ずかしいからとかじゃなくて、「その匙加減がツボだから」。丸出しになると台無しになるもの、「ヌードより着物の襟足のほうが色っぽい」みたいな話と似ているでしょうか。

 

それでも、今回作品に反映させた「JUNE」は自分の解釈の中でもすごく淡いタイプのJUNE感覚で、ふつうに「短編」と称したほうが適しているかもしれません。例えて言えば、平凡社ライブラリーの『ゲイ短編小説集』収録作が「ゲイ小説」である、という程度にJUNE、という感じです。(とても好きな短編集なのですが、「えっ、これのどこがゲイ小説?」というものがいろいろ入っています。その意味で自分にとってあの「ゲイ小説」はまさに「JUNE小説」です)

 

こういう、ある種の「色気」(一般的な意味で「エロい」ものに限らない)は、もともと、「普通の作品」の中に「深読み」して味わっていたものでした。なので、現在の特化した商業BLに見当たらないのは当たり前かもしれません。たぶん、「こういうものが好きでしょ」とあからさまに提示された時点で消えてしまう、そういう性質のものなんだと思います。「深読み」という感覚、かなり重要なのです。

 

そんなわけで、今回改めて「JUNEの定義は一般にどうなっているのか」を考えてみたのですが……wikipediaで見つけた言葉がうまく状況を言い当てていると思いました。

 

「読者の美意識に適うものはなんでもJUNEとされたようで(……)」
(wikipedia「JUNE(雑誌)」より、ぶどううり・くすこ氏の発言引用)

 

まさに美意識の問題だと思います。こうなるとむしろ気が楽です。それぞれがそこに込めるものが正解で、人と比べるものでもない。今のJ.GERDEN会場で見ることができる作品の多様さが、それを表していると思います。

 

…そんなわけで、今回は「あなたのJUNEはどこから?私は」(笑)的なわがままを通した一冊です。もちろん自分にとってもJUNEはこーいうのだけではありませんし、BL否定というわけでもないです。というか、JUNE/BLはいろんなものを飲み込むカオスなパワーがあるジャンルだと思っています。現在の商業BLで特化している表現はもう充分巷にあふれているし、自分がそれをやっても下手だと思うので、JUNE/BLとフツーの小説の重なる、自分好みのハンパなあたりで(笑)これからもやっていきたいな、と思います。

 

 

複数プラットフォームでの配信

さて、配信の話にいきますが、二ヵ所で同時配信といっても同じ本なので簡単簡単……と思ったらそうでもなかったのです。(^^;) というのは、ストアの性質がちょっと違うんですよね。前回も書いたんですが、BOOK☆WALKERのほうは同人誌/個人出版を他と分けたコーナーにしているので、ある意味「同人誌をわかってる」方たちが見る場所だと思うんです。今回のキーワード「微JUNE」にしても、「JUNE」自体がkindleでは説明がいると思いますし、同人界隈では説明するとむしろ失礼みたいなところもあります。でも一般の(?)方が何かの拍子にご覧になったときにはわかりやすくしたいとも思いますし……。公開されてから商品ページを見て、「ああ、こうじゃないかも……」とちまちま書き直すことはわりと多いんですが、今回すごく悩んでそれを繰り返してます。それで現在、kindleとBOOK☆WALKERの有料版、無料お試し版ですべて商品説明が違う状況になっとります。内容的にも読む方をちょっと選ぶかな、というものですし(まあいつもそうなんですが)、もともと宣伝が下手なのもあるんですが、どういう感じの本なのかをお伝えするのは難しいなあ……と痛感しています。

 

それはともかく、今回はKDPセレクトに登録しなかったので、Unlimitedやオーナーズライブラリーに対応できない代わりに、kindle以外での露出は内容の10%まで、という制約がありません。どういうPRが可能か、いろいろ試してみようと思っています。(その一環が無料お試し版です)それから、今回初めてEPUBでファイルを作ってみて、テキスト主体の本で画像を全画面表示する方法などがわかったので、次に電子化しようと思っているSF系長編の演出(?)に活かしたいと思っています。

 

ノーガキが長くなりましたが、サラッと味わっていただけたら冥加でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

流星:SF・微JUNE掌編集

 

【kindle版】
【BOOK☆WALKER版】

 

(無料お試し版)【BOOK☆WALKER】

 

 

追憶ホームズ上巻・ラスト3デイズ無料配信

さて、サイトのホームでお知らせしておりますが、既刊をkindle以外でも配信するようにするため、順次kindle独占配信を終了し、Kindle Unlimitedやkindleオーナーズ・ライブラリへのご対応がなくなります。今週末に分冊版の『追憶のシャーロック・ホームズ』が終了するので、そのラスト三日間に上巻を無料配信することにしました。この無料キャンペーンオプションも独占配信が条件なので、今後利用できなくなることに突然に気づきまして……もともとこういうキャンペーンをするための分冊版なので、未読の方はよかったらぜひダウンロードしてください。統合版はもうしばらく読み放題対応です。残りの本の対応終了スケジュールは別途お知らせいたします。

 

【分冊版・上巻】追憶のシャーロック・ホームズ

2018/3/21(日本時間22日午後6時頃)~23(日本時間24日午後6時頃)

商品ページの無料配信開始時刻がまだ修正されていないかもしれませんが、
開始は日本時間3/21午後五時頃の予定です。