お盆休みと新作試行錯誤

Excelで始めたストーリーの見直し。最近座り作業の時間が長いので、 100均のフェイク観葉で仕事スペースを飾って雰囲気だけでもよさげにしようとしています…。(笑)
Excelで始めたストーリーの見直し。最近座り作業の時間が長いので、 100均のフェイク観葉で仕事スペースを飾って雰囲気だけでもよさげにしようとしています…。(笑)

お盆休み、今年はがっつり台風の影響下でしたね。雨か猛暑かという繰り返しで参りました。最近は体力の限界で夏コミ参加も控えるようになってるのですが、休みに入る前に熱中症をやってしまい、その余韻が続いて「夏ごもり」モードに拍車がかかり、見たい映画も見に行けてなかったりします。でもその分、比較的楽な朝夕に庭仕事をしたり、近くの喫茶店で本を読んだり……と、まあいつもとあまり変わらない行動範囲で(笑)楽しみました。

 

そして何より、「休暇=自分の原稿をいじれる日❤」なので、イアンシリーズの新作いじりを再開しました。(ほとんどライフワーク化してますが(^^;)あきらめてません!)二月の父の他界からそちらの手続きやら行事やらがあったり、ちょうど同じタイミングで翻訳の大きな仕事をいただいたりしたため、ときどきファイルを開いても「何やってたか思い出す」ところから。そのたびに思いついた展開を試して断片を書いていたため、収拾がつかなくなっていました。お盆は数日続けていじれるので、整理するチャンスです。

 

現在「ここを解決しないと進めない」ところをなんとかしようとシノプシスに戻っているので、手書きの情報カードを使ったり、ポメラでランダムに問題を書き出して一人ブレインストーミングしたりと試行錯誤していたんですが、先日ふとExcelを使って横にキャラや項目名、縦に時系列で書き出してみたら、複数のファクターを並列して整理するにはぴったり! ここでまさか表計算ソフトがしっくりくるとは。自分にとってはちょっとした発見です。

こういう作業に特化したソフトはたぶんあると思うんですけど、手持ちの、使い方がわかっているソフトでできるのはありがたいです。今回は取り込みたい要素が多いので、その取捨選択もしやすくなりました。(じつは最近までセル内のテキスト編集は上のバーの部分でしかできないと思っていて(^^;)、長文ではめんどくさすぎるのでこういう使い方は想像もしませんでした。それが、翻訳仕事の作業でExcelに入っている文をいじる必要があり、初めてセル内で編集できると知ったおかげで応用できました。何が役に立つかわからないものです!)

 

感覚はカードを並べるのに近いんですけど、今の段階ではカードよりも「書き出す」「編集する」の作業がしやすいです。あと、今気が付いたんですけど、ちょっとアニメのタイムシートの感覚にも似てるかもしれません。「タイム」の単位がめちゃくちゃ大きいですけど。

 

それと、こういう時に救急箱的に助けてもらっている本の一冊、"150 Screenwriting Challenges"に今回も助けられました。箱書きから教えるような「脚本の書き方本」ではなく、「すでに書いてる人が壁にぶつかってる」時に役立つちょっとしたエクササイズやヒントが詰まった本です。150の各チャレンジが短くて、ユーモラスで読みやすいのもポイントです。(以前ご紹介したことがあるかもしれませんが、著者はエリック・ハイセラーさん。映画『メッセージ』の脚本家さんで、テッド・チャンさんの原作『あなたの人生の物語』に惚れ込んで企画の立ち上げから行った方です)

 

今回ぱらぱらと拾い読みしていて役立ったのがキャラクターについての章。この方監督経験もあるそうで、そのとき俳優さんからキャラクターについて質問攻めに遭ったことを引き合いに出しています。話には出てこないキャラの設定や「そのシーンの直前」に何をしていたのか、などなど。面白かったのが、メソッド俳優に出くわすと「ポケットの中には何が入っているのか?」なんてことまで聞かれる、と。書いた本人ならわかっているはず、と俳優さんは思うんだそうです。そりゃそうですね。

 

(蛇足:メソッド俳優というのは、リー・ストラスバーグ等が確立した、内面からアプローチして演技をする「メソッド(メソード)」という演技法を身につけた俳優さんのこと。ストラスバーグのアクターズ・スタジオからアル・パチーノなど名優がたくさん出ているほか、いろんなところで教えられているらしいです。自分は演技はしませんが、昔創作の勉強の一環とミーハーな興味から本を数冊読みました。でも「メソッド俳優」と言う場合、「役の奇妙な掘り下げをしすぎる」というような揶揄で使われることも多いです)

 

で、その役を演じるために雇われたつもりで自分に質問する、ということが書かれてました。なるほど!自分もツッコミは得意なので(笑)、やってみたら設定として欠けていた部分に気づきやすくなりました。それと、自分の場合ストーリーから考えてキャラを動かすと不自然になりやすくて、何より「自分自身が」物語に入り込めなくなることがしばしばあったんです。でもキャラの内面を追っかけていくと、自然に入っていくことができて書く過程自体が楽しくなる気がします。ああ、この感じ。この入りこむ感じです。失っていたのは。原稿そのものの執筆ではないですが、作業に没入する感覚、久しぶりに味わいました。

 

そんなわけでそろりそろりと前進している……と思います。いちおう秋のJ庭と冬コミには申し込んだのですが、このあとまた私的な雑用があるので、この新作はたぶん間に合わないと思います。でも「●●合わせ」は意識せず進めていきます。

 

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さて、執筆期は既刊の宣伝期でもあります。(笑) 

kindleのほうでは、先日からすべての作品がKindle Unlimitedでお読みいただけるようになりました。特にJ庭でご好評賜りました『流星:SF・微JUNE掌編集』は初めての読み放題対応になりますので、お初の方にもぜひご覧いただけたらと思います。(J庭カタログでおすすめくださった記事をこちらに転載させていただいております。あらすじも自分より要領よくご紹介いただいておりますので、ぜひぜひご覧くださいませ)